「高校卒業したら自衛隊に行きたいです」
A容疑者が多感な時期に過ごした里親の家は、A容疑者の実家と同じ町にあり距離もさほど離れていない。当時のA容疑者は何を思って過ごしていたのか。高校時代バイトしていたという飲食店の店長が語る。
「自分自身の境遇について特別恨んでいるようなふしはなかったように思いますよ。実の親の話はあまりしていた印象はありませんが、里親については『いい人』と言っていました。ウチでバイトしていたのは半年くらいですが、週に2~3回ほどのシフトで遅刻もないし、無断欠勤も一度もありませんでした。
皿洗いや料理の盛り付けや掃除などをしていました。間違ったやり方をしていれば当然注意もしましたよ。僕が『それ違うよ』って言うと『店長すいません』っていつも素直でした」
バイト先ではおとなしく真面目だったというA容疑者。そんなA容疑者を気にかけ店長もよく声をかけたという。
「ウチには養護児童施設から紹介を受けて働きにくる子はけっこう多かったんです。その中でもAは著しくではないですが変わっている印象はありました、口では説明しずらいんですが……。『彼女おるんか?』って冗談で聞いても『いません』って即答したり……。ロードバイクが趣味で、出勤もごつい自転車で来てましたが、それとは別に本格的なロードバイクも持っていて、ひとりで『揖斐高原』のほうに行ったりよくしていました。
目標を決めてそこまで自転車で行って帰ってくるそうです。友達と遊ぶよりひとりでサイクリングに行くのを優先していて、そのあたりも変わっているように感じました。バイト代は4万円~5万円でしたが、自転車にけっこうお金をかけていたんだと思います」
学生時代の同級生に対しA容疑者は「自衛隊に入隊したい」という夢を語っていたがバイト先でも同様に語っていたようだ。
「バイトの業務はしっかりできるんですが、どこか頼りない部分がありました。なので『高校卒業したら自衛隊に行きたいです』『自衛隊に行くために勉強頑張ります』とよく言っていたけど、Aが自衛隊なんて厳しい規律の世界でやっていけるのかなって心配していたんです。でもまさか、こんな事件を起こすなんて…」
周囲に自衛隊に入隊する夢を語り続けたA容疑者を凶行に駆り立てたのは一体何だったのか。事件の全容解明が待たれる。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班