流出入はあるが、県内各地には様々なジャンルで活躍する移住者も
そんな中、一家は地域の行事に少しずつ参加をし始める。
「夫は区長さんに誘われ、公民館でおじちゃんたちに三線、民謡を習い、娘と私は、島出身の重要無形文化財保持者の琉球舞踊家の先生から舞踊を習い始めました。娘が早く島の同級生と仲良くなれるよう、そして親の我々も島の皆さんとの距離を縮められるよう、公民館での週2回の練習に欠かさず6年間通いました。
年々後継者が少なくなり、移住者の我々も神事や豊年祭などの伝統行事に、ジカタ(地謡)と踊り手としての活動を頼まれるようになりました」
これらの交流で、住民とのつながりが年々深くなり、もうすぐ10年に。
地域に少しずつ馴染んでいった2019年春。当初自宅内の工房と一緒だった、作品を販売するギャラリーを、徒歩数分の海の前に移転する。
長女も中学生時代にダイビングライセンスを取得。一緒にダイビングや釣りに出かけたり、夕焼けを見ながら食事をしたり。大人になって島を出て行く日も遠くない長女と親子3人の島暮らしを、存分に楽しんでいる。
20年という歳月をこの地で歩んできた中で、いろいろなことを見て、感じてきたジュンコとマコト。知らない地域に入っていくことは大変な努力が必要だし、今でも「入れました!」とは言い切れない、と言う。
ギャラリーと併設のカフェを運営する二人の元へは、移住の情報を求める人がたくさん訪ねて来る。
20年前と今とでは、沖縄への移住のあり方が変化したと思うか、聞いてみた。
「働き方の変化で、移住がしやすくなってきたと感じます。移住者が格段に増えたので、地元の方々も慣れてきたというか、距離は縮まってきたのではないでしょうか。移住される方は看護師、薬剤師、介護士など資格保持者が多く、フリーランスやリタイヤされた方、経営者の方々は二拠点生活をされている方が多いようです。
入ってくる人も多い反面、それぞれの事情で沖縄から出ていく人も多いですが、県内各地には様々なジャンルで活躍する移住者もたくさんいます」