先生や大人を毛嫌いしていた

A容疑者を小さいころから知る、同級生の母親はこう振り返った。

「Aくんと息子は保育園と小学校が一緒でした。ただ、保育園にはAくんとすぐ下の弟さんが一緒に通っていたんですが、急に2人ともやめたんです。あのご一家はお子さんが多くてかなり生活が苦しくて、小さい子供たちは全員児童施設に預けたんだと聞きました。でもAくんが小学3年生になると戻ってきて、息子と同じ小学校に転入してきたんです。手当などが出るようになって、子供を育てる余裕ができたから施設から帰ってきたと聞きました。そういう過去もあってか、Aくんが先生や大人を毛嫌いしてるところは当時からあったようで、友達とは上手く接しても、先生とはよく言い合いをしたり揉めていたと聞いてました」

A容疑者の「権威」に対する反発の萌芽が、小学生時代すでに見え隠れしていたようだ。級友たちにもそう感じるところはあった。小学校で同級生だったという男性が語る。

小学生の頃のA(知人提供)
小学生の頃のA(知人提供)

Aは友達同士だと明るくて、たくさん話もするし、面白いいいヤツでした。運動部でもないのに運動神経バツグンでどんなスポーツもできるし、『小学生あるある』で足が速いからクラスでも人気者でした。でも友達とはケンカになることも全然なかったのに、先生とはしょっちゅう揉めていたんです。
施設に預けられてたというのは聞いたことがあったので、大人を信用してない節があったように思います。先生の言うことを素直に聞かず、大人から見たら生意気な子供だったかもしれません。本当にいいやつだったので、事件のことでマスコミの方からAのことを尋ねられたときはショックを受けましたが、過去のそういった出来事を今思い返して、大人からの頭ごなしな指示や説教に耐えきれなくなった可能性はあるのかなと思ってしまいました」

別の同級生の母親にとっても、A容疑者は思い出に残る子供だった。

「Aくんは弟を連れてよく遊びにきましたよ。ウチの庭を駆けまわったり、屋根に登ったりするやんちゃな子でした。小学校5、6年生の頃はうちの子とよく遊んでいて、よく顔も見たのだけど、中学に上がってからは遊ばなくなったみたいですね。というよりもAくんは中学に入学してすぐに不登校になったんですよ。入学して1〜2ヵ月で来なくなったみたいです」

同級生の母親から見て、A容疑者の家庭環境はどう映ったのだろう。

Aの実家(撮影/集英社オンライン)
Aの実家(撮影/集英社オンライン)