“公邸忘年会”参加者は総理番の目をかいくぐって公邸に?
だが、そんな総理番も、首相の動向をすべて把握できるわけではない。
「午後5時46分、公邸着。午後10時現在、公邸。来客なし」
これは、「週刊文春」で、首相の長男・岸田翔太郎首相秘書官(当時)や親戚らとの忘年会が公邸で行われたと報じられた12月30日に、時事通信が配信した首相動静だ。各社の新聞にも、同様の首相動静が政治面に載っている。この首相動静を作っているのも、総理番だ。
12月30日の忘年会には首相自身もパジャマ、裸足姿で顔を出し、記念写真も撮ったことがわかっている。ではなぜ、首相動静は「来客なし」となっているのだろうか。
全国紙政治部記者が解説する。
「年末は多くの政治家も地元に帰っている時期。12月30日の夜にわざわざ重要な来客があるとも思えず、総理番も少し油断していた節がありました。一部の会社の総理番しか公邸の出入りを見張っていなかったそうです。
それでも、どこの社の総理番も気づかなかったのですから、親戚たちは『裏口』から出入りするなど、総理番の目をかいくぐるようにして、公邸に入ったのではないでしょうか」
首相には、誰と会っているか知られないためのさまざまな裏技があるのだという。
「公邸には、記者が見張れるだけでもふたつの出入り口があります。ただ、正面玄関は、朝から夜まで記者がチェックすることができますが、裏口まで見張ることはほとんどありません。
仮に見張って、公邸の敷地内に入る車を確認し『先ほど入った車は首相の面会者ですか』と首相秘書官に聞いても、『違います』『業者です』などと言われれば、本当に首相の面会者でなかったのか、確認のしようがありません」(前出の政治部記者)
裏口からの出入り以外の可能性もあるという。
「首相が外出中は、総理番も公邸を見張っていませんから、『公邸忘年会』の日も、首相が公邸に帰る前に親戚が公邸に入り、総理番が見張りを終える夜10時以降も親戚が帰っていなければ、総理番に気づかれずに忘年会をすることは可能です」(同)