こづかい制を敷いていない家庭が多い
具体的な話をすると、こづかい制を敷いていない家庭が多いのです。子どもが何かほしい、これが必要なんだと言えば、お母さんはその内容をあまり精査せずお金を渡してしまいます。もっと言えば、たとえば3000円ぐらいのものが欲しいと言われると、5000円札1枚を渡して終わります。おつりの2000円はバックしなくてもよいことになります。
百歩譲って必要なものを買ってあげるのは良しとしても、対価交換できる以上のお金を与えるのはいかがなものでしょう。
このゆるゆるの経済観念は、そのまま子どもに伝播するようです。私が出会った子どもで、親の財布からお金を盗んだり、万引きするといった金銭トラブルを起こしたケースのほとんどが、こづかい制ではありませんでした。いわゆる「大人の引きこもり」と言われる成人男性で「親のすねがなくなるまでかじる」と言い放つ人もいます。私が「親のすねがなくなって、お金がなくなったらどうするの?」と言うと、黙り込んでしまいます。
経済教育の失敗が大きいと思います
端的に言えば、経済教育の失敗が大きいと思います。上述したように高収入世帯が多いため、いわゆる「子ども費」が無限大に膨らんでしまうのです。
子ども費とは、子ども一人を成人させるまでにかかるお金を指します。「インターネットによる子育て費用に関する調査報告書」(Like U)によると小学生にかかる子育て費用は食費、教育費などを含め月平均約10万円だそうです。年間にすると120万なので、世帯年収400万なら子ども費は約30%と幅を取ります。ところが年収1000万なら家計に余裕があるため、どんどんお金を使ってしまう傾向があります。そういった親御さんたちは「子どもの幸せのためにも、お金で苦労させたくない」とおっしゃいます。
しかし、それが良いことだと私には思えません。どんなにお金があってもリミッターを設定し「子どもにはそれ以上は使わない」と決めておくほうがいいと考えます。そのリミッター設定のひとつの方法が「こづかい制」です。
月々決められたお金しか使えない。大きなものを買いたかったら貯蓄する。そんな当たり前のことを子ども時代から経験させることが大事です。そういった経験を積んでいない子どものなかから、カード破産をしたり、サラ金地獄に陥る大人が生まれるのだろうと想像します。
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