40代の息子の”ミス”にポーンと80万円も出すのか

銀行の副支店長であれば、すでに40代は超えています。そんないい大人の息子に「ミスしちゃったの? かわいそう!」と80万円もポンと出すなんて。

娘はすぐさま「うわ~、ありえない!」と声をあげました。

「そもそも自分のミスなのに、なんで親に電話するわけ? そんなの私だったらありえないし、電話したとしてもお母さんに『それで?』って言われて終わりそう」と首を横に振っています。

その通りです。もし娘をかたる悪人から同じような電話がかかってきたら、私はきっとこう言います。

「ほう、それは大変だったね。え? 支店長になれない? そもそもあなたが支店長になりたいと思うことにびっくりするね。うちの家の子にそんな価値観が育ったとは……。なんか、えらいやん!」

たぶん悪人は面喰らって電話を切るでしょう。

なぜオレオレ詐欺はアジアでだけ起こるのか。騙される親子の特徴…「高学歴親という病」と経済教育の失敗_2

振り込め詐欺は欧米ではあまり聞かれない

ところで振り込め詐欺は欧米ではあまり聞かれない犯罪です。聞くところによると、この類の親ごころを刺激する詐欺は、日本、韓国、中国など東アジア特有の犯罪だそうです。警察庁によると2020年の息子などになりすます「振り込め詐欺」被害は6407件、被害総額は126億1000万円と恐ろしい額です。

この犯罪、私は極めて日本的な親子の共依存関係が根底にあると感じます。親が子を「かわいそうだから」「心配だから」とすべて手助けしてしまう様子が透けて見えます。私たち日本人は、もしかしたら振り込め詐欺被害に遭いやすい親子関係を形成しているのかもしれません。