今感じている不安は、1年後には忘れている
しかも、今感じている不安は、1年後にはほぼ確実に忘れているはずです。
みなさんは、「エビングハウスの忘却曲線」をご存じでしょうか?
これは、19世紀のドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスが、次のような方法で、時間の経過とともに人の記憶がどのように変化していくかを研究し、提唱した理論です。
実施者:ヘルマン・エビングハウス
方法:子音・母音・子音からなる意味のない3つのアルファベットを被験者
に覚えさせ、時間と節約率の関係を調べる。
結果:20分後の節約率が58%、1時間後は44%であった。約9時間後は35%、1日後は34%、2日後は27%、6日後は25%、1ヶ月後は21%であった。
節約率とは、一度記憶した内容を再び完全に記憶するのに必要な時間をどれだけ節約できたかを表すもので、この結果は、「時間が経てば経つほど、人が覚えたことを忘れやすくなる」ということを間接的に示しています。
人間は本当によく忘れる生き物なのです。
ただ、忘れるのは悪いことだとは言い切れません。
たとえば嫌な目に遭ったこと、仕事でミスをしたこと、人間関係で悩んだこと、そして何かに不安を感じたことも忘れます。
つまり、不快な感情にとらわれたり、悩んだり、不安に支配されたりしている時間は、1か月後、1年後には完全にムダになる可能性が高いのです。
不安は人間が当たり前に抱く感情ではあるけれど、不安に思うことの9割は実際には起こらず、今感じている不安も1年後には忘れている。
そう考えると、不安という感情を、少し冷静にとらえることができるようになるのではないでしょうか。
そして、世の中にどれほどネガティブな情報があふれていようと、いたずらに不安を抱えたり、不安に基づいて大事な選択を行ったりするのを避けられるようになるのではないでしょうか。
「何をなすべきか、いかになすべきか、をのみ考えていたら、何もしないうちにどれだけ多くの歳月がたってしまうことだろう」
これはゲーテの言葉です。
私たちは、本当はいつだって自分のことに集中したいし、効率よく時間を使いたいと願っているはずです。
しかし、まだ見ぬ未来への不安から不愉快な将来を予想してしまい、今、この瞬間を失い続けていることがどれだけ多いことでしょう。
不安は、いくらでも沸き起こり、生きている限り共にあります。
今までもずっとそうであったように、です。
ですが、
・不安の95%は実際には起きない。
・自分の感じている不安は1年後には忘れている。
各国の研究者たちが導き出したこの研究結果は、常に私たちに「不安との戦いに負けず、前に進め」と教えています。