不安に思うことの9割は、実際には起こらない
— ペンシルバニア大学のボルコヴェックらの調査
不安は、将来起こるかもしれない危険に備えるうえでは、ある程度役に立つかもしれませんが、選択の基準にしたり、行動の指針にしたりするべきものではありません。
不安にとらわれ、不安に基づいて下した判断には、あまり意味がないといってもいいでしょう。
なぜなら、人が不安に思うことの9割は、実際には起こらないからです。
シドニー大学のザボと、ニューサウスウェールズ大学のラヴィボンドが行った「悩みごと」に関する調査によると、48%の人の悩みごとは、「問題解決過程」にあったそうです。
約半数の人は、「この問題をどうやって解決したらいいのか」ということに悩んでいたのです。
また、この調査では、「結果は変えようがないと考える人ほど、さまざまな解決法を否定的にとらえる」という傾向も明らかになりました。
「この問題をどうやって解決したらいいのか」と悩みつつも、「何をやってもダメに決まっている」と決めてかかっているため、ますます問題解決に向かって動くことができなくなるわけです。
つまり、多くの人は起きた問題自体に悩んでいるのではありません。
たとえば、仕事でミスをしたとき、「問題を解決するために、まずは上司に相談するべきだろうか」「でも、叱られたらどうしよう。減給されるかもしれない」「隠しとおすことはできないだろうか」「でも、バレたときにもっと叱られることになる」といった具合に、まだ起きていない未来について考え続けているのです。
一方で、そうした人には、「何かほかの出来事が起きない限り、悩み続ける」という特徴も見られました。
これは、裏を返せば、「そうした人は、より意識を向けるべき出来事が起きれば忘れてしまう程度の問題に悩んでいる」ということになります。
また、ペンシルバニア大学のボルコヴェックらは「心配ごとの79%は実際には起こらず、
16%の出来事は事前に準備をしていれば対処可能である」との研究結果を発表しています。
心配ごとが現実化する確率はたったの5%であり、ほとんどのことは実際には起こらないか、適切に準備をしておくことで、いざ起こっても乗り越えることができるのです。