アメコミ作品が興行収入の王者

このリストがそんなに重要かと疑問を持つ人もいると思いますが、重要です。
なぜなら「好きなスター」の調査ではなく、「映画館で見たいスター」という調査だからです。
ハリウッドは興業収入の数字に頼って回転している業界なので、映画スタジオは経済的リスクを避けるために、このデータを信頼することになるからです。

若手スターが生まれない理由は、映画スタジオがスターの輩出に励まなくなったのが大きな原因のひとつでしょう。スターを世に送り出すには、本人の才能やスター要素にプラスして、時間と戦略とお金と人力を投入した宣伝活動が必須です。

ところが現在のメジャースタジオの映画製作は興行収入を上げることのみに注力しています。いい映画、感動できる映画を作ってもお金にならないため、独立系スタジオに人間ドラマの製作と人材育成を任せっきりにしてしまったのです。

現在の興行収入の王者はアメコミ映画。マーベル・コミック、DCコミックはマネー・マシンです。『スーパーマン』が初めて映画に登場したのが1938年ですから、アメリカンポップカルチャーとして歴史に深く根づいています。

製作費も興行収入も桁外れです。『アベンジャーズ』シリーズ4本の世界総興行収入が80億ドルを越し、製作費はそれぞれ3億ドル前後。ゼロの数を数えるのに苦労する額ですが、製作費の2〜3倍の興業収入を上げてしまえば、あとは楽々純利益だそうです。作れば売れる人気作をシリーズ化し、リブートし続けているのが現状です。

そういった莫大な興行収入を上げるアメコミ映画でスターになった人は、トップ20の中でクリス・ヘムズワースだけ。そのことが、アメコミの興行収入の高さとスター誕生が結びついていない、わかりやすい例だと思います。ヒーローたちも世代交代、あわせて新人や若手が主演を務める続編たちが大勢を占めてきましたが、アメコミ映画への倦怠感が漂い始めていると見聞きすることも多く、時すでに遅しな感もあります……。