4人ものフレッシュな顔が表紙初登場
前年、彗星のごとく現れたアリッサ・ミラノが最多3回表紙を飾っている。8シーズン続いたシチュエーションコメディ『Who’s the Boss(原題)』(1984~1992)は絶賛放送中で、複数テレビ映画に出ていたので、アメリカにおけるメディア露出が多かった。うがった見方だが、表紙起用が増えたのは、読者人気が高かったことに加えて、写真の入手が容易だったからではないだろうか。
そして、1987年に初めて表紙登板のリヴァー・フェニックスが、1989年にはなんと2度も表紙になっている。1972年の創刊以来、同じ年に単一男優が複数回表紙を飾ったのは、リヴァーが最初である。
理由は、『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』(1989)が公開されたことだ。本作は「ロードショー」の読者にとってみれば、『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカス、『E.T.』のスティーブン・スピルバーグ、人気アイドル=リヴァー・フェニックスが組んだ奇跡のコラボ作品である。本作はリヴァーが出演した数少ないエンタメ作品のひとつだ。
新人に目をむけると、香港女優のグロリア・イップがいきなり2度も表紙に。香港で日本人にスカウトされたという彼女は、日本と香港との合作『孔雀王』(1988)のアシュラ役に抜擢。歌手としてもデビューしている。『孔雀王』の原作漫画は週刊ヤングジャンプの人気連載だったので、同じ出版社の「ロードショー」がバックアップするのは当然の流れだろう。
※グロリア・イップの人気を物語るエピソードはこちら
ウィノナ・ライダーは8月号に初登場。青春映画『ルーカスの初恋メモリー』(1986)を経て、ティム・バートン監督のカルト映画『ビートルジュース』(1988)が公開され、まさに人気急上昇中だった。
もうひとりの新人はフランス女優のエマニュエル・ベアール。『愛と宿命の泉 PART II 泉のマノン』(1986)でセザール賞の助演女優賞を受賞した彼女は、『天使とデート』(1988)でハリウッド・デビューも果たす。ちなみに、『天使とデート』で天使役を演じたベアールは、その若さと美貌で共演のフィービー・ケイツを霞ませてしまった。カトリーヌ・ドヌーヴ、ソフィー・マルソーの「フランス女優枠」を継ぐ存在となった。