プロレスラーこそアイドルの究極系
――個人的な印象論なんですが、男子プロレスに比べて、女子プロレスはあまり怪我をアピールしない風潮がある気がします。たとえば蝶野正洋さんの首とか、武藤敬司さんの膝の怪我が、男子プロレスでは試合の流れやその後のストーリーにつながってきますが、中野さんは首のことを言ったりしないですよね?
そうですね。「首はみんな悪いから、私が言ってもなぁ」って感じですけど(笑)。ただ、怪我のアピールに関して男子と女子で違いがあるとしたら、そこが女子プロレスらしいところかもしれません。女子プロレスって、男子より感情が見えやすいと思うんです。
だから怪我で駆け引きするよりは、真正面から殴り合って、命を削り合っていく。そしてお互いのイデオロギーを証明していく。そういうところが、私が女子プロレスを好きな理由です。
――なるほど。その後アクトレスガールズを辞め、スターダムに移籍してから、すぐに「ミスiD」のオーディションを受けますね。動機はなんですか?
アイドル時代は、自分はミスiDっぽくないと思ってたから、応募する気にもならなかったんです。だけど、プロレスを始めてから、自分というものが確立されてきたような気がして。
――あまたいるアイドルのひとりではなく、プロレスラーでアイドルという唯一無二の人になれた、ということですか?
あ、はい。誰かにそう言ってもらいたかったって感じですかね(笑)。ただ私は、プロレスラーこそアイドルの究極系だと思ってるんですよ。
さっきも言ったように、アイドルとは命を燃やす姿を人に見せる職業だけど、プロレスラーも命を燃やす様をリングの上で見せてますから。というか、こっちはマジで命かけてやってっから!みたいな(笑)。
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取材・文/西中賢治 撮影/武田敏将