騙されて、騙されて、辿り着いたのが「プロレス」
――そしていよいよ、プロレス界へ。
はい。また騙されて(笑)。アクトレスガールズという団体の代表の方から、「1回、練習見に来たらどうや?」と誘われて。軽い気持ちで道場に行ったら、その場で「この子、今日から練習生やから! みんなよろしく!」って紹介されたんですよ。それでマット運動みたいなことをやってみたら、先輩たちが「すごーい! たむちゃん、絶対いけるよ!」ってめちゃくちゃ褒めてくれて。
――それ、大学のサークルとか高額なジムの勧誘と同じですよ(笑)。
そうなんですか(笑)。その2か月後にデビュー戦を行ったんですけど、直前に首の怪我をしてしまって、試合中はマジで死ぬかと思いました。
――試合前に首のヘルニアが発症してしまい、医者から「一生付き合わなければいけないかもしれない」と言われたとか。
はい。当時は電車が揺れるだけでもすごく痛くて、肩から指先までずっとしびれてる状態でした。ただ、プロレスラーになってから一度長期欠場して、だいぶ良くなったんですよ。今でもジャーマンを受けたりすると、ビリっとくるけど、ぜんぜん気にしてませんね(笑)。
――どうしてそんな大怪我をしてまでプロレスラーになろうと思えたんですか?
引くに引けなかったんですよね。私は子供の頃からやっていたバレエで挫折して、ミュージカルもダメで、アイドルもダメで、やっとプロレスに出会えた……。だからこれが最後の砦だったんです。それにプロレスって、アイドルと一緒だなって思ったんですよ。
――どういうことですか?
アイドルって、めちゃくちゃ過酷なんです。厳しいレッスンを経て、ステージの上で命を燃やしてパフォーマンスする。そしてその姿に元気をもらったファンの人に支えてもらう。それってプロレスと同じだなって思ったんです。私たちもマットの上で命を削って、ファンの人に支えてもらってますから。ただ、痛いか痛くないかの違いはありますけど(笑)。