コロナ禍で制限された海外活動
非営利の民間団体であるウィーン少年合唱団は、これまで国内外における年間約300のコンサート公演における収益金と、スポンサーからの支援・寄付金よって運営費用を賄ってきた。そのため、新型コロナウイルス感染拡大による活動制限の影響は非常に大きく、一時は存続の危機に陥る恐れもあったという。
コロナ禍での運営に関して、招聘元であるジャパン・アーツ代表取締役の二瓶純一氏は会見中、「パンデミックの期間はウィーン少年合唱団にとっても未曾有の事態で、およそ2年半まったくツアーができない日々が続きました。失ったのは約700公演以上。その間はホームページ等でドネーションを募り、運営していました」と話した。
また、合唱団の団長であるエーリッヒ・アルトホルト氏は「この3年間は苦しい時期だったが、だからこそ、ポスト・コロナに向けてポジティブな未来を描いていくことが大切だと考えている」と言葉を寄せた。
コロナ禍においては、入団までの過程にも現代的な手段が活用されていたようだ。
日本人メンバーの1人であるレンタロウ君は、YouTubeでウィーン少年合唱団が歌うビデオを見て入団したいと決意。自分が歌っている短いビデオを送ったところ、Zoomで指揮者の先生とミーティングをすることになり、それからウィーンでトライアウトの期間を過ごすことになったという。
また、今回来日するハイドン組の中には、ウクライナ侵攻によってオーストリアへ避難してきたメンバーも参加している。
もともとウクライナの港町・オデーサの合唱団に所属していたゲオルギ君(13)は「戦時中、どの方面に行こうかと考えていました。そこで僕のほうからウィーン少年合唱団を訪ね、最終的に入団を決心しました」と合唱団に参加した経緯を話した。