用水路の総距離は日本―ベトナム間に匹敵

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岡山サイクリング協会によれば、用水路の総延長距離は岡山市内だけでも約4000キロになるという。4000キロといえば、日本からベトナムまでの距離に匹敵する。そのため、岡山県では用水路の危険性が認識されながら、事故防止策が追いついていないのだという。

「行政サイドで用水路に自転車が転落しないよう、懸命にガードパイプや水路蓋を設置しているのですが、あまりにその総延長距離が長いため、まったく追いついていないのが実情です。県内の用水路すべてに安全対策を施すのは予算面から考えても不可能だと思っています」(前同)

対策の不備を岡山県警も認める。

「ガードパイプなどの安全施設を設置するのは警察でなく、用水路の管理者の管轄。そのため、警察では転落策の徹底を管理者に何度もお願いをしているのですが、予算の制約もあって遅々として進んでいないというのが実情です」

これでは自転車の用水路転落事故は減りようがない。4月1日から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されたが、こと岡山県にかぎってはヘルメット普及の前に用水路のパイプガードや水路蓋の設置義務化を進めるべきなのでは?


取材・文/集英社オンラインニュース班 写真/pixta