自転車事故に岡山ならではの理由

「10万人あたり事故死数が全国ワースト1になった原因は、22年の死者数が前年より17人も増えて74人になったことに尽きます。ただ、そこで目立つケースがある。それは自転車事故による死者数です。22年の死者数は21年から倍増して18人にもなりました。その結果、昨年に増えた17人の交通事故死のうち、自転車に乗って亡くなられた方が半数以上の9人を占めることになったんです」(前同)

つまり、岡山県警は自転車事故による死者増が10万人あたりの交通事故死数を押し上げ、ワースト1位になったと考えているということらしい。しかも、その自転車事故死にはある特徴があるという。

「ウインカーを出さない」ほか運転マナーの悪さとの関連は? 岡山県が「10万人あたりの交通事故死日本一」になってしまった意外な理由_3
写真はイメージです

「自転車単独による事故死が多いんです。それも走行中に誤って用水路に落ち、死亡するというケースが目立ちます」(前同)

たしかに岡山県内の交通事故データを調べると、22年の自転車の死亡事故18件中、単独事故は半数の9件。そのうち、用水路への転落死が7件にも達している。これはかなり異常な数字だ。

なぜ、岡山県では自転車の用水路転落死が多いのか? 現地のサイクリング事情に詳しい「岡山県サイクリング協会」に聞いてみた。

「瀬戸内海に面した岡山の南部は干拓地が多く、そのせいか、やたらと用水路が多いんです。それも昔に作られたために、形状がまっすぐでなく、複雑に曲がりくねっていたりする。用水路の幅や深さもさまざまで、落ちたらとても助かりそうにもない深いものから、水深数十センチほどの浅いものも。

ただ、浅い用水路でも自転車ごと転落した衝撃で気を失い、溺死することも少なくない。他にも大雨で道路が冠水すると、用水路がどこにあるのかわからず、自転車ごと転落したというケースもよく耳にします。こうした危険な用水路が多いことが、自転車死亡事故の多発につながっているのでしょう」