月3回の練習でも顧問は見捨てず
「定時制なので授業終わって朝まで遊んでましたね。朝練はほぼ行ったことないです。で、午後の練習も気まずくてサボる。そんなことしてばっかりなので顧問の高見(公明)先生に卒業まで怒られてばっかりでした。でも、僕もそのときは先生のこと大嫌いだったんで、『僕はあなたの言うことは聞きません』って反発して」
練習は週1回。少ない時は月に2〜3回。部室に顔を出しても筋トレを適当にやって帰ることもしばしばだった。ただ、ボクシングの素質はあった。試合に出場するとあれよあれよと勝ってしまう。
もったいない。そこまで聞いて、筆者は思ってしまった。真面目に練習をしていればと。
「ああ、『お前は才能があるんやから真面目に練習したらもっと強くなる』と、いろんな人から言われましたね。でもその言葉ばっかり毎日毎日聞いて、めちゃくちゃプレッシャーで。ほんで、ボクシングが一層嫌いになって」
ただ、そんな中嶋を顧問の先生は見捨てなかった。
「地元の友達と集団でちょっと危険な夜遊びしてたら、すぐそこに高見先生がいたんですよ。絶対気づいてたと思うんですけどね。両親は中3のとき離婚して家庭環境もよくなかったですし、今思えば、こいつからボクシング取ったら更正の機会をなくして今以上にグレると思ってくれてたのかもしれないですね」