1日で60件もの業者申請も。広がるCBD市場

今や通販をはじめ、さまざまなところで見かけるCBDだが、使用や輸入ができるようになったのは2012年。当時は今に比べて濃度が低く本物の大麻より効果が薄いため、利用者の期待に応えられるようなものではなかったそうだ。そのため、試しに買ってみたものの期待外れで使用をすぐやめてしまったという利用者が続出した。

その後、CBDを取り扱う業者のなかで、濃度を上げたり化学反応をさせたりして販売する人たちが徐々に増えていき、そこから多種多様なカンナビノイドが次から次へと販売されてくという状態に。そのなかでもCBDに比べてTHCの効果により近いカンナビノイドが登場し、厚労省が危険ドラッグとして規制対象に含むかどうかを検討するより前に「合法」として出回るという事態も起こっている。いわば、2010年代に日本で流行した「脱法ハーブ」で行われていたような、取り締まる側と製造・販売する側での「いたちごっこ」の状態が続いているという。

大麻の生涯経験率1.4%という“マリファナ情弱な日本”につけこむ「CBD」ビジネスの闇_3
「マリファナマーチ東京2023」を主催する根岸さん

「これまでは何社かの大手業者がCBD市場を牛耳っていましたが、徐々にCBD がブームになっていったことでCBD事業に手を出す人が増えました。ピーク時では1日に60件くらいのCBD業者の申請があると聞きます。
また、100kg単位で輸入をしている大元が存在し、OEMの形式で末端の業者に卸しているとのことです。このようにしてCBD市場が形成されています」

また、37の州と首都ワシントンで医療用大麻が合法、そして18州とワシントンで嗜好用大麻が合法となっているアメリカでも、同じようにCBD由来の商品は販売されている。しかし、そうしたなかでもCBD利用者は限られていて、その利用者は大麻でハイになることを嫌うか、状況的にハイになれない人かのどちらかだという。
根岸さんは「医療目的においては、THCを含めた大麻のすべての成分を一緒に摂取(全草利用)した方がいい」と話す。

「現在販売されているCBD商品は原材料が見えず、製造過程も明らかではないものが多いです。もちろん検査がされているわけでもないので、なんでもありという状態なのが一番の問題です。いわば、家庭で作られた糠漬けのような状態ですね。そのため、売る方は非常に売りやすい状況になっていて、なかにはCBDが0%なのに、CBDと謳って売っている業者もいるほどです」