“鐘のおじさん”が語る「のど自慢」の魅力
クラシック畑にいた時間が長い秋山さんにとって、歌謡曲の合否に対し鐘を鳴らすことに当初は戸惑いもあったという。秋山さんは当時をこう振り返る。
「もともとオーケストラを長年やっていたので、舞台には慣れているから鐘を叩くことに緊張はしませんでした。でも、やってきた音楽のジャンルがまるで違うから違和感はありましたよね。それでも、『のど自慢』の魅力に気付いてからは『続けられるうちはやっていきたい』と思うようになっていったんです。
この仕事の魅力ですか? 例えば、この歌を聞いて病気を克服しました、など参加者一人ひとりの物語を目の当たりにした時、改めて『音楽の持つ力ってすごいな。音楽はジャンルじゃないよな』と気付かされました。だから私は『のど自慢』では参加者の人生にも耳を傾けるようにしています」
優しく会場に響く鐘の音は、番組の看板だったと言っても過言ではない。秋山さんは「とにかくいい音で鐘の音を響かせたい」、その一心だったという。
「私の気持ちとしてはみんなに合格の鐘を鳴らしたいんですよ。ですが実は合格、不合格や鐘の回数を決めているのは私ではないんです。私は受けた指令に従っているだけなんです」
21年間の長きにわたって「NHKのど自慢」の顔である“鐘のおじさん”を務めてきた秋山さん。後半では「のど自慢」に関するエピソードやハプニングを語ってもらった。また、4月から司会者が2人体制となり刷新された新生「NHKのど自慢」についてどう思うのか、その胸中にも迫っていく。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
後編「NHKのど自慢」に批判続出。21年間、鐘奏者を務めた“鐘のおじさん” 秋山気清さんはカラオケ仕様にリニューアルされた番組を見て何を思う?