「……あれ? どっちが山里?」。
ドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系列)の第一話を見て、一瞬、視点が迷子になった。こちらのドラマ、オードリーの若林正恭を髙橋海人(King & Prince)、南海キャンディーズの山里亮太を森本慎太郎(SixTONES)が演じている。
それぞれにコンプレックスと、迷いだらけだった人生を送ってきた二人。まだ実在している人物を、人気絶頂のアイドルが演じるというのは、設定を聞くだけで視聴欲を刺激される。
これまでの出演作でも見る側を見事に吸引する演技で、高評価の髙橋。若林が憑依したような仕草、喋り方には舌を巻く。一方、共演者、共闘者でもある森本。どこからどう見ても、山里である。山里本人もSNSで「俺じゃん」と評しているほどだ。
この森本の寄せ方、アイドルという立場を吹っ切ったような演技は一体どこから来るのだろうか。これまでの出演作から振り返ってみたい。
ガタイのよさが功を奏した、若手刑事役との出会い
2006年に小学3年生でジャニーさんに直接スカウトされ、Jr.時代にもCDデビューを果たしたことのあるSixTONESの森本は2007年以降、いくつものドラマに出演している。
『私立バカレア高校』(日本テレビ系列・2007年)
『GTO』(関西テレビ系列・2012年)
『部活、好きじゃなきゃダメですか?』(日本テレビ系列・2018年)
学園ドラマを中心に、王道のアイドル路線を進んでいたようだ。
ただ残念ながら年柄年中、ドラマばかりを見ているようなオタク=私の記憶にはうっすらとしか残っていない。体格のいい新人アイドルの人。そんな印象だけだった。
そこから一転、彼の演技がきっちりと記憶に残ったのは『監察医 朝顔』(フジテレビ系列・2019年)の森本琢磨役だ。
新人刑事で、先輩の後について必死で仕事をしている姿が、とてもよく似合っていた(ここで言う「似合っていた」は最大の賛辞)。同じグループのジェシーも『キワドい2人−K2-池袋署刑事課 神崎・黒木』(TBS系列・2020年)で、若手刑事を演じていたけれど、二人とも本当によく似合っていた。
共通しているのはガタイのよさだ。アイドルといえばレディースサイズの衣装を着用するほど、細身のイメージが強いが、その定説を覆したかのような、SixTONESの二人。鍛えまくった、ガタイのいいアイドルがいたっていいじゃないか。新人刑事らしからぬ、偉そうにも見える大きな背中がそう語っていた。