破綻した金融機関には共通項があった

シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行、クレディスイス…今年、破綻した銀行の「共通項」とは。背景にアメリカの“中国潰し”?_2
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――2023年にはグレートリセットの前ぶれのような事象が起きてくると予測されていますが、実際にそれはどんなことからスタートするのでしょうか?

今回のシリコンバレー銀行、シグネチャー銀行の経営破綻がその前ぶれと考えていいと思います。2008年9月に起きたリーマン・ショックのときも、その前年にベアスターンズ証券などが破綻しており、そのパターンを踏襲しているように見えます。

加えて、クレディスイスが実質破綻し、UBSに買収されることになりました。ただ、クレディスイスはもともとリーマンブラザースの元社員の多くが転出、マフィアのマネーロンダリングの幇助などで金融当局からペナルティを食らっていたほどの体たらくで、株価は2ユーロほど。つまり、いつ潰れてもおかしくはなかったのです。

ちなみにFTX、仮想通貨、シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行の破綻には、ある共通項が存在していました。それは、そのすべてが中国資本と密接に絡んでいたのです。つまり米国はそれを許さなかったということです。

クレディスイスのバックボーンは中東各国の中央銀行であり、中東のオイルマネーです。もうピンとこられた人もいるでしょうが、中東のオイルマネーは、大株主としてクレディスイスに莫大なマネーを入れていて、それが吹っ飛んでしまった。手持ち債券を無価値にされ、株価は暴落、UBSに半値で買収されたのですから、中東各国の中央銀行は大損を被ったわけです。

これに繋がるのが今年1月に開催されたダボス会議です。1973年の石油危機以降、中東の石油の取引はドルのみで行うペトロダラー制でした。同会議の席で中国側は「人民元を石油取引の基軸通貨にしたい」と発言しました。これに対して中東側の代表、サウジアラビアの財務相は「ペトロダラーだけではない」と返したのです。要は、中東はペトロダラー制を放棄して、人民元を石油取引の基軸通貨にすることに前向きであると示唆したのです。

この一件が、米国が中国資本と繋がる銀行、組織を破綻させ、クレディスイスを窮地に追いやり、中国と中東各国の資本を大きく棄損させた真因だと私は見ています。

♯3に続く

写真/shutterstock

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金融暴落! グレートリセットに備えよ
岩永憲治
シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行、クレディスイス…今年、破綻した銀行の「共通項」とは。背景にアメリカの“中国潰し”?_3
2023年3月24日発売
1,870円(税込)
四六判/288ページ
ISBN:978-4-08-786139-6
もうすぐリーマン・ショック級の金融危機が起きる!?元敏腕トレーダーが近未来の経済危機を予測し、潮目の見方を指南!

リーマン・ショックから15年。コロナ禍やウクライナ戦争で世界の情勢も変わり、それまでのグローバル経済は立ち行かなくなった。最大の問題は世界的なインフレが止まらないこと!世界中にお金があふれ、生産地と消費地の間のいたるところでボトルネックが発生した結果だ。2022年からアメリカは金融を正常化しようとして急速な金利の引き上げを行っているが、その体制下で新たな金融危機が起こる可能性が飛躍的に高まっている。(2023年3月半ばにも、アメリカではIT系の投資に積極的だった3つの銀行が破綻し、米国財務省の即断の政策により金融危機が未然に防がれた。)
そんな予断を許さない情勢のなか【次なる史上最大の金融危機が2024年末前後に起こるであろう】と予測する。既に経済不況に突入したという意見もあるが、リーマン・ショック後の為替変動をいち早く予想した著者は、もう一度バブルの最後の吹き上げが起こり、2024年の大統領選の終わるころには米国経済においては株価が上がって景気も良くなったというユーフォリア状態に陥るという。そして誰もが予測もしなかった状況で反転し、最終的には1929年の大恐慌やリーマン・ショックを超える危機が来ると言う。
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