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妄想で病み、女性配信者とのコラボにブチギレ…

――『ガチ恋粘着獣 ~ネット配信者の彼女になりたくて~』(以下、『ガチ恋粘着獣』)を描こうと思ったきっかけについて教えてください。

私自身、学生時代からネット配信を見ることが好きで。しかも、配信者に“ガチ恋”しているタイプの痛いファンでした。勝手に色々想像して病んだり、女性配信者とのコラボ配信にキレたり。そんな話を担当編集さんに雑談程度に話していたら「じゃあそれ、描いてみたら?」と言われて。私は趣味や好きなことを作品にするのがあまり得意ではなくて、最初は正直「えー⁉」と思いましたね。

でも確かに、ガチ恋をしているファンのモヤモヤとか暴走って、はたから見たら面白いことなのかもしれないな、と。自分の経験を思い返して深堀りできるところは多いですし、実際に描きやすいテーマではありました。ヒナちゃん(輝夜雛姫)のエピソードはわりと自分をモデルにして描いているので、共感してもらえると素直に嬉しいですね。あ、私は配信者と繋がってないですよ(笑)!

【漫画あり(1〜5話)】妄想で病み、女性配信者とのコラボにブチギレ、同担ファンへの嫌がらせ…配信者にガチ恋する漫画「ガチ恋粘着獣」作者の星来氏がそれでも「自分の行いに対する反省はしないでほしい」と思う理由_1
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――本作には個性的な“ガチ恋ファン”が登場しますが、描くときに気にしているポイントはありますか?

全員、自己主張は強めに作っています。思想の異なるファン同士が戦っている方が面白いですし、読者の方々も誰かしらに感情移入しやすいと思うんですよね。でも「Aちゃんが正しくてBちゃんが間違っている」というふうにはせず、一人ひとり、ただひたすらに自分の信じる道を突っ走ってもらっています。登場人物みんなに言えることなんですけど、各々、あまり自分の行いに対する後悔はしないでほしいなと思っています。

それに、現実がつまらないとか、リアルで恋愛ができないとか、誰しもがそういう理由でガチ恋をしているわけではないんですよね。

多くの場合、好きになった人がたまたま配信者やアイドルだったというだけなんです。感情の機微としては普通の片思いとあまり変わらないと思うので、そこも意識して描いています。