無償譲渡の間伐材をハトする“薪活”をはじめるために、
チェンソーが必要だった
森林国である日本では、間伐などのため出た余剰木材を、引き取りに来れる人には無償で譲ることが多い。
薪ストーブ常用者の一部は、それをこまめにハントしに行く、“薪活”をやっているようなのだ。
こうなったら僕も、はじめるしかない。
でも無償譲渡の間伐材は、ただ切り倒されただけの原木状態で転がっているので、それを現地で適当な大きさに自力でカットし、運び出さなければならない。
したがって薪活にはチェンソーを使いこなす腕が、必須条件となるというわけなのだ。
しかし根っからの文化系であり、大学を卒業以来、チマチマと雑誌を編集したり、文章を書いたりすることを生業にし、音楽鑑賞や読書を趣味としてきた僕にとって、あんなに殺傷能力の高そうな道具を巧みに使いこなす自信はまったくない。
安全面を最優先に、誰かに一からきちんと教えてもらわなければ、チェンソーマンに変身する前にチェンソーに殺されてしまうかも……。
そんな大いなる不安に駆られた僕は、再びネットを猛検索。
様々な団体が、チェンソー技術を習得するための講習会を実施していることを探り当てた。
講習会には、個人が主催するものからチェンソーメーカー主催のもの、また林業関連の法人が主催するものまで様々あるようだが、僕は林業・木材製造業労働災害防止協会という厚生労働省所管の特別民間法人が主催する「チェーンソー講習(安衛則36条8号)」という、本格的かつ公的な講習会に参加することにした。
その名のとおり、林業や木材製造業、また建築業などに従事する人が主な参加者となるようだが、案内には、初心者にも丁寧に教えるので、これからチェンソーを使いたいと思っている一般の方もぜひご参加くださいと書いてあった。
“大は小を兼ねる”と同様、“プロはアマを兼ねる”はずだから、これを受けておけば損になることはないはずだ。
山中湖の我が家から車で1時間少々のところにある、山梨県某市で開かれるその講習会は、学科教育9時間+実技教育9時間=計18時間の内容を、3日間に分けてみっちりおこなうものだ。