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思春期脳はマルチタスクが苦手
一人前のクチをきくくせに、基本的なことができなかったりする、それが思春期です。なぜなら、脳のつながりが完成していない思春期脳は、一度に複数のことをするのが苦手。著しく注意力散漫で、周りで起きていることにきちんと注意を払うことができないんです。
うちにも娘が2人いるんですけど、昔から本当にモノをよくなくす子たちで、鍵なんか数えきれないくらいなくしてます。歩いているうちにね、いつの間にか手からなくなっているみたいなんですよ。
定期券はなくす、財布はなくす、スマホの置き忘れもしょっちゅうで、「iPhone を探す」(登録したiPhone の位置を示したり音を鳴らしたりできるアプリ)に何度助けられたことか。ぼーっとして転んでケガしたり、しょっちゅうモノを壊したりするもんで、小さい頃から子ども賠償保険を1億円かけてきました。
娘の部屋はごみの山です。業を煮やして部屋を掃除したら、飲みかけのペットボトルが10本ほど転がっていたと母親は怒り心頭ですが、娘は勝手に片づけられたことを嫌がるふうもなく、むしろ〝ラッキー!〞とばかりに喜んでる。私は妻をなだめるのにいつも苦労しています。
ナプキン問題もよくありますよ。あるお父さんはお風呂に入ろうとして、ふと脱衣所の鏡を見たら、使用済みのナプキンがぺたっと貼ってあったって(笑)。これからやるべきことを覚えておく「展望的記憶」は思春期になっても小学生レベルで止まっていますから、「あとで捨てよう」と思ったことも忘れているんでしょう。
まあ、よそでやったら問題だけど、家の中でのことなら大目に見てあげてもいいんじゃないかなと私は思いますけどね。
こういった「不注意」は、発達障害のAD/HD(注意欠如・多動症)とみなされることも多いです。でも、「不注意」は、思春期女子によく見られる傾向で、お母さんたちも自分の子どもの頃を振り返ってみると、思い当たるところがあるのではないでしょうか。
不注意が目立つ子には、やるべきことの優先順位を決めて、根気よく丁寧に説明しましょう。指示するときは一度に1つか2つに絞るのがコツです。そうやって、段取りを組ませる訓練をしていくことで、少しずつ脳が鍛えられます。
文/大下隆司 写真/pixta
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