99歳の作家が相談者を一喝

作家の佐藤愛子さん、御年99歳。まさに「波瀾万丈」という言葉がピッタリの人生を送ってきました。直木賞受賞から半世紀以上にわたって数多くの作品を発表。最近も大ヒットした『九十歳。何がめでたい』(小学館)などで、高齢者を大いに勇気づけています。

相談者は初めての出産を控えている30歳の女性。子どものころから母親の過干渉に悩まされてきました。母親が疎ましくて家を出てからは何とかやり過ごしてきたものの、結婚や妊娠をきっかけに干渉がエスカレート。子どもの名前や学校など、すべてに口を出してくるとか。「つかず離れずのよい関係を築くにはどうすればよいのでしょう」という相談に、佐藤さんは生ぬるいことを言っていないで喧嘩すればいいと一喝します。

〈このお母さんの性格と「つかず離れず」につき合おうとしたら、一方的なあなたの我慢に終始すると思いますよ。(中略)この厄介な女王様の命令から逃れるには、あなた自身の強さと覚悟が必要だわね。
「お母さん、いちいちうるさいわね、今まで我慢してきたけど、これからは私も母親になるんだから、自分の子供は自分の思うように育てます!」
 そのくらいいっておやりなさいよ。なに? それが出来ないから相談してるんだって? そんなら、お母さんのいいなりになって、そのうちに老衰して何もいわなくなる日を待つんだわね!〉
※引用:佐藤愛子著『佐藤愛子の役に立たない人生相談』(ポプラ文庫、2021年刊)

力強いお言葉です。佐藤さんは、母親の性格は「もう今からは直りません」と断言。まずは「自分の考えをハッキリ、ノーならノーと」突き付けなさいと言います。「逆らえないけど支配されたくない」というのは、いつまでも“いい子”でいたいだけの虫がいい了見と言えるでしょう。縁を切るだけが、支配から「逃げる」方法ではありません。勇気を出して「その口出しは不愉快だ」と意思表示することが、精神的に距離を取る第一歩となります。

佐藤愛子、渡辺えり、鴻上尚史が「毒親」からの逃げ方を指南する_1
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