共演者から得た学びを活かして

――共演された方の印象や現場でのエピソードを教えてください。

川島(零士)くんは真面目で、彼が演じているフィンとキャラが似ていました。

フィンはツッコミ役になることが多いので、お笑いの本を読んでツッコミの勉強をしてきたらしいです。それに僕ら5人の中では、いじられポジションなところもありつつ、細かいボケにも丁寧にツッコんでくれています。

周囲を見渡す視野が広くて頑張り屋さんなところに、フィンらしさを感じました。

(石川)界人さんは、とにかく現場の空気を作ってくれる方だなと。界人さんだけスケジュールの関係で、なかなかアフレコ現場ではご一緒できずにいたんですけど、逆にそれをご自身でネタにされていたのが印象的でした。

「今週も界人さんいないね」みたいな会話をしていると、深々と頭を下げて入ってくるんです(笑)。本人的にはギャグなんでしょうけど、そういうやりとりのおかげで自然と現場が盛り上がったので助けられました。

――上田さん、江口さんはいかがでしょう?

上田(麗奈)さんは紅一点ということもあり、僕らの話に「ふふふ」と穏やかに笑っていらっしゃいます。でも、演技のときには一番大胆に演じる方だな、と。上田さんの演技で、レモンがより魅力的に仕上がっていると感じます。

江口(拓也)さんは年齢、キャリア、何をとっても、やっぱり頭ひとつ抜けてます。僕らのことを見守ってくれるというか、親のような優しい感じで包み込んでくれてました。

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――4人の方が演じられるキャラクターも、マッシュとはまた違うキャラの濃さがありますよね。

そうですね。だからこそ、マッシュらしくやることで際立つ個性もあると学びました。

マッシュって、ツッコミに対してリアクションをしたりとか、真っ向から同じ熱量で掛け合ったりしないんです。そこが、役者的にはやりにくい部分ではあるのですが、あえて裏切ることで成立する笑いを追求しました。

――なるほど。

正直、マッシュのキャラ性を守るだけなら、僕が演じる意味がないなと思っています。淡々と読むだけだったら、棒読みで成立してしまう。

だから、毎話どこまでマッシュの表情を引き出せられるのか、チャレンジを重ねていて。

やりすぎた時には、監督や音響監督に「そのくらいまで行くとマッシュらしくない」とブレーキをかけてもらえるので、表現の幅をギリギリまで実験的に攻めたりもしています。