「この体験、ヤバ!」プロデュース業でも開花
そして2020年、コロナ禍で始動したのが「映像プロデューサー・MEGUMI」だ。
「『役者は待つのが仕事』という言葉もあるぐらい、超受け身の仕事なんです。だけどコロナ禍にはSNSで自己発信している人が輝いていて、自分も何かしていかなくてはと。
でも、TikTokで踊るわけにはいかないし、インスタに自撮りばっかり載せるわけにもいかないから、うーん……となっていたときに、『ステイホームでみんな暇だろうから、何か作品をつくれないかな』と。
そこから仲のいい脚本家さんに電話をして、Amazonで買ったグリーンバックを役者の人たちに送り、ZoomでInstagramドラマをつくったんです」
それが「ものすごく楽しかった」と振り返る。
「企画が現実になって、世の中に届いて『面白い』と言われる。『このエモーショナルな体験、ヤバ!』と思って(笑)。
自分で作品をつくることは、役者としての自分の仕事をつくっていくことにも繋がる。これだ、という結論に至り、マネージャーさんにまた宣言したんです。
『プロデュース業をやる!』と。そうしたらYouTubeドラマ、連ドラ、映画と本当にびっくりするくらい、一気に作品が増えて。人生って、本当にわかんないなと思いますね」
2月には、『新聞記者』の藤井道人監督らが所属する制作会社「BABEL LABEL」にプロデューサーとして所属。
女優、経営者、プロデューサーとして花開いた今、「大人の思春期」を過ごしていた自分に声を掛けるとしたら、何と言うのだろう。
「まあ、よくやってくれたなと思います。コツコツと腐らず……うーん、腐ってはいましたけど(笑)。
それでも目標は見失わず、アクティングコーチについてもらったり、美容に力を入れるようになったりしたから、今がある気がする。だから、『ありがとうございます』と、当時の私に言いたいです。
去年、カンヌ映画祭と釜山映画祭に行ったときに、日本映画のよさが伝わっていないという悔しさを、めちゃくちゃ感じたんですよ。
韓国と比べると、日本も頑張っていかないと、というふうにどうしても感じてしまう。微力でも日本の映画やドラマを盛り上げつつ、海外に届けていくような活動もしていきたいです」
終わり
取材・文/泊 貴洋
撮影/柳岡創平
場面写真/©2023浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会
『零落』(2023年)
監督/竹中直人
原作/浅野いにお『零落』(小学館 ビッグスペリオールコミックス刊)
脚本/倉持裕
音楽/志磨遼平(ドレスコーズ)
出演/斎藤工、趣里、MEGUMI、山下リオ、土佐和成、吉沢悠、玉城ティナ、安達祐実
製作幹事・配給/日活、ハピネットファントム・スタジオ
8年間の連載が終了し、描けなくなった漫画家の深澤薫。世間からは「落ち目」の烙印を押され、アシスタントからはパワハラで理不尽に訴えられそうになり、漫画編集者の妻・のぞみとは離婚の危機に陥ってしまう。そしてのめり込んだのは、猫のような目をした風俗嬢・ちふゆ。堕落への片道切符を手にした深澤が、人生の岐路に立つ。
3月17日(金)テアトル新宿ほか全国公開
公式HPはこちら https://happinet-phantom.com/reiraku/#modal