この“キラキラネーム法案”ともいえる改正案が成立した場合、2024年度から施行される見通しだ。なぜこのような改正案が提出されるのかというと、背景には「行政手続きのデジタル化」がある。3年前に新型コロナ給付金が給付された際、戸籍に読み仮名がなかったために銀行口座との結びつけに手間取り、給付が大幅に遅れる事態となったのだ。戸籍に読み仮名を記載することでこういった作業の効率化につながるという。
改正案では「読み方は一般に認められているもの」と規定され、「いきすぎた『キラキラネーム』など社会に混乱を招く極端なものは記載されない」とされている。ただし、辞書に載っていない読み方でも社会にある程度受け入れられている読み方であれば認められる方向だ。
認められないケースについては「法律施行までに通達で示す方針」とされているが、原則認められないケースとして、
1 漢字の意味と反対の読み方をさせる(高と書いて「ひくし」と読ませる)
2 読み違いかどうか判然としない(太郎と書いて「サブロウ」と読ませる)
3 漢字の意味や読み方からはおよそ連想することができない(太郎と書いて「マイケル」と読ませる)
などが想定されている。改正案が成立すればすでに戸籍がある国民全員が読み仮名の記載を行う。
この改正案に対しては「名前の読み方まで国が口を出すのか?」「昔、話題になった光宙(ピカチュウ)や天使(エンジェル)みたいな名前がつけづらくなることには賛成」など賛否両論がネット上で議論されている。
今回、「集英社オンライン」ではキラキラネームにまつわるエピソードについて渋谷で300人の若者に尋ねてみた。
まずは自身も含め周囲の知人か「友人にキラキラネームはいるか?」と尋ねたところ、55人がキラキラネームが「いる」と回答。一例を以下に紹介しよう。
勉人(たけと)くん
「初めて読む人はみんな〝べんと〟と読みます。今まで初見で読めた人はいませんでした」(20歳男性・大学生)
虎銀(こてつ)くん
「友人の話ですが、かなりの確率で〝とらぎん〟と間違った読み方されると言っていました。『こてつだよ!』といちいち訂正するのが面倒だと言っていました」(10代男性・高校生)
朗花(さえな)さん
「〝ろうか〟とかって間違えられますね。あとはまったく読めないという人も多いです。自分自身はけっこう気にいっているんですけどね」(20代女性・大学生)
また、字面だけを見ると読めた気がしても、「実際の読み方は難解」との名前も。
七海(ほな)さん
「圧倒的に〝ななみ〟と読まれます。まあ、そうですよね。卒業式でも校長先生にも名前を間違えられていました」(10代女性・高校生)
南七星(ななほ)さん
「最初に〝ななせ〟でしょ?と聞かれて違うと言うと、みんな考え込んでまさかと思うけど〝みなみしちせい〟?と尋ねてきます」(10代女性・高校生)
真直(ますぐ)くん
「趣味で知り合った友人の名前なのですが〝まっすぐ〟ではなく〝ますぐ〟。まず読めないですよね。〝ますぐん〟というあだ名で呼ばれていたのですが、まさか本名からきているあだ名とは思いませんでした」(20代男性・会社員)