担当とのミーティングは「雲海を眺めながら」

––本作の舞台となる特盛連峰・雲海小屋にはモデルがあるのでしょうか?

特盛連峰のモデルは栃木県にある那須岳で、雲海小屋はそこにある「煙草屋旅館」をモデルにしています。山小屋をテーマに決めたとき、煙草屋旅館の方にモデルにしていいか聞いてみたのですが、快くOKしてくれました。

––ネームを作るにあたり、那須岳には改めて登りましたか?

本作の連載ネームを考えているときは、実は富士山の山小屋で働いていたんです。9号目にいたのですが、風がとにかく強くて。担当さんと電話で打ち合わせをするときも、「風で全然声が聞こえないよ!」みたいなやりとりが何度もありました(笑)。でも、雲海を眺めながらの打ち合わせはすごくいい時間でしたよ。

––『やまさん〜山小屋三姉妹〜』がリアルかつ読み応えのある作品なのは、先生の実体験に基づいた確かな知識の裏付けがあるからなのか、と腑に落ちました。

そうかもしれません。とはいえ知識が足りないこともあるので、友人に聞いたり、お世話になってきた人たちに都度聞いたりしています。

––もうひとつ、坂盛先生の作品は迫力のある“カメラ位置”が魅力的だと感じます。これも、実際に“その状況”を経験しているからこそ描けるのでしょうか。

そうですね。そこにいる人の目線をイメージできることが、リアルでダイナミックな表現につながっているのかもしれません。

【漫画あり】富士山の山頂付近で打ち合わせやネーム制作。アウトドアコメディ『やまさん〜山小屋三姉妹〜』がリアルな描写で溢れる理由_3