不良文化が消えてゲーム・インターネット文化が台頭

一時代前まで、全日制以外の高校(通信制や定時制)に通うのは、ヤンキーのような不良というイメージだった。全日制に行けない、あるいは中退した生徒たちが通っていることが多かった。

だが現在は、通信制や定時制高校に限らず、暴走族を結成して非行をくり返すような昔ながらの不良はほとんど存在しない。それは図を見ていただければわかるだろう。20年ほど前から非行で検挙される子供の数が減っているのである。

「学校へ行くのは時間のムダ」。なぜ少子化の中で通信制高校の志願者は増え続けているのか? 現場教員が指摘する2つの要因_1
出典:「令和元年版 犯罪白書:少年の刑法犯 検挙人員中の再非行少年の人員・再非行少年率の推移」
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大人の中には、こうした統計を根拠にして「子供の問題が減少した」と言う人がいる。

だが、これは大きな間違いだ。たしかに子供たちの問題行動が非行という形で現れることは少なくなった。だが、それと入れ替わるように別の問題行動が増えたのである。それが、不登校だ。なぜ非行に代わって不登校が増加したのか。一般的にはいくつかの理由から説明がなされている。

まず、国によって不良文化が抑圧されたことがあるだろう。

1980年代くらいまで、学校で起きている校内暴力や非行といったことが大きな社会問題となっていた。これによって町全体の治安が悪くなり、暴行死のような事件が起きていたのである。

「学校へ行くのは時間のムダ」。なぜ少子化の中で通信制高校の志願者は増え続けているのか? 現場教員が指摘する2つの要因_2

国はそうしたことに危機感を抱き、これらの問題行動を抑えにかかった。学校に警察官を送り込んだり、暴走族の壊滅作戦を決行したり、更生の難しい少年を積極的に少年院に送ったりしたのだ。

これが功を奏して、社会から不良文化がなくなっていき、子供たちの間で表立って悪事を働くのがかっこいいという風潮が薄らいだ。だが、時代の変化とともに子供たちは別のツールを手にすることになる。
ゲームやインターネットだ。