「しゃべり方までエリザベス女王自身」現在78歳・現役感たっぷりの俳優ヘレン・ミレンとの戸田奈津子の思い出とは_1

しゃべり方まで、まるでエリザベス女王自身

『モスキート・コースト』(1986)で主演を務めたハリソン・フォードの取材でロサンゼルスを訪れたときに、共演者で英国出身のヘレン・ミレンにもお会いしました。ハリウッド女優とは違って、キラキラしたアクセサリーなど何も身につけていない清楚な装いでね。

ざっくばらんに何でも話す、地に足がついた感じのステキな方でした。作品自体は、ピーター・ウイアー監督の作品で唯一あまり評価されないものだったけど(笑)。

彼女の出演作で私が好きなのは『ゴスフォード・パーク』(2001)。マギー・スミスやマイケル・ガンボンなど、イギリスの名優が勢ぞろい。貴族の館を舞台にしたドラマで、英国らしく殺人事件までからむ。監督のロバート・アルトマンはほとんどの作品が群像劇で、大勢の役者を見事に交通整理しながら、しかもテーマを浮き立たせるという手腕で鳴らした名匠です。

女優としてのヘレンの見るべき1本は、エリザベス女王の苦悩を見事に演じきった『クィーン』(2006)かな。しゃべり方まで、まるでエリザベス女王自身ではないかと思うほどの名演技。基礎を叩き込まれている英国の俳優の演技力は、世界でも群を抜いています。