離岸流であっという間に200メートル沖に流され

美容系の専門学校を卒業後、エステサロンで働いていた串さん。しかし、想像以上の激務で「辞めて好きなことをしたい」と考えるようになっていた。そして思い立って退職し、訪れたのが南国の石垣島だった。

この地で専門学校時代の同級生2人とラウンジ嬢としてリゾートバイトを始めると、間もなくして、同じお店で働く30歳の同僚の案内で、石垣島の海へと繰り出した。しかし、シュノーケリングを始めた彼女たちは離岸流に巻き込まれ、あっという間に200メートル沖合まで流されてしまった。
 

――当時の新聞によると、その日は台風一過で波浪注意報が発表されていたそうですね。

串貴代加さん(以下、同) 天気予報を見てなくて、全然知らなかったんです。しかも、泳いでいた場所は遊泳注意場所という看板が立っていたみたいですが、石垣島に来たばかりで土地勘もなく、そこがどういう場所なのかもまったくわかってませんでした。今考えれば、軽率な行動だったなと反省しています。

ギャル真っ盛りだったという21歳当時の串さん(左)
ギャル真っ盛りだったという21歳当時の串さん(左)
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――見るからに波は高かったんですか?

沖では白波が立っていたようですが、そのビーチは遠浅だったので知らずに海に入ってしまい、気づいたら4人とも波も風も強い沖に流されていたという状況でした。

流された時点で「どうしよう、どうしよう……」とパニックでした。離れ離れにならないように4人で腕を組んで、そこからずっと泳いでは離岸流に戻されてを繰り返してました。

――周囲の人に助けを求めなかった?

夕方の4時ごろにはマリンジェットとかアクティビティの人たちもみんな引き上げていて、海には私たちしかいなくなってたんです。4人で声を合わせて何度も『せーのっ!助けて!』と叫んでも、波と風が強くて誰にも気づいてもらえませんでした。
 

――日没前から16時間の漂流。よく無事に生還できましたね。

台風直後のせいか、目の前に大量のゴミが流れてきていて、そのうちの発泡スチロールをそれぞれ抱えて浮く負担を減らしました。でも、ずっと抱えてると発泡スチロールが擦れて超痛いし、隣の子が薄い発泡スチロールを3、4枚重ねてロープで縛って持っていたんですけど、そのロープで私の腕の皮がずる剥けになって……。それが一番辛かったです。それで険悪なムードになったりして……。