篠山紀信にも尋ねた質問
――今回の写真集を撮影した写真家の佐内正史(さないまさふみ)さんとは、ほとんど打ち合わせをせず撮影に臨まれたとか。
筧美和子(以下同) 「こういうのアリかもね」「ここで撮ってみようか」という感じで、お互いその場で案を出し合うことはあったのですが、ふだんの撮影のようなきっちりした段取りや打ち合わせはなかったですね。
会話しているうちに撮影が始まって、自然なままの私を撮られるというのは、すごく心地のよい体験でした。“気持ちファースト”というか(笑)。
――「心地のよい体験」というのは、具体的にどのような感覚だったのでしょう。
「私はただここにいるだけでいいんだ」という感覚、でしょうか。もちろん、撮影において「自然」であることが常にベストなわけではありません。でもお芝居においても、「自然体」を意識しすぎるとかえって体に力が入ってしまったりするんです。
「ありのまま、自然な自分をさらけ出す」というのは、久しく忘れていた表現の仕方だな、と撮影を通して再発見できましたね。
――「グラビアって、なんだろう?」というキャッチフレーズが目を引きます。今回の撮影を通して答えは見つかりましたか?
いやあ、難しいですね。私、11年前に篠山紀信さんに撮っていただいたときも、篠山さんに「グラビアってなんですか?」って尋ねてみたんです。篠山さんは「本来は印刷の種類のことだけど…グラビアってなんなんだろうね」とおっしゃっていたのですが、確かになかなか言葉じゃ言いあらわせない。
――筧さんのキャリアの中でグラビアという仕事にモヤモヤした感情を抱いたことはありますか?
正直ありますね。写っている自分が自分じゃなく感じてしまったこともありますし、一方でそこに需要もあるし必要とされているという事実もある。
今回の撮影を通じて撮られる人の魅力――シンプルな人間味のようなものが感じられる写真なのでは?と思うようになりました。でもときどきで答えが違うのかなとも思いますね。