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中東情勢の報道で何を信じればいいのか?

――今回の戦争に対する日本国内の反応を見て、感じることはありますか?

極端な二項対立になってほしくないということはずっと思っています。「ふざけんなよ、ハマス」とか「イスラエルこそテロ国家だ」って言い切ってしまうほうが、気持ちの整理がつけやすくて楽ですが、世の中そんなにシンプルではなくて。むしろほとんどがグレーじゃないですか。

だから、パレスチナ寄りの人であろうと、イスラエル寄りの人であろうと、もうちょっと対話ができるといいなと思っています。お互いに虐殺をされている当事者同士が分断するのはもう仕方がないと思いますが、周りがそれを煽ってしまうと収拾がつかない。そこは我々の情報発信が大切になってくると思っています。

TBS記者・須賀川拓氏
TBS記者・須賀川拓氏
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――今回のことで、改めてイスラエル・パレスチナの問題を調べてみましたが、それぞれに根深い歴史があり、識者たちも自分の立場ありきでコメントし合っている印象を受けました。正直、何を信じていいのかわからない、という気持ちもあります。

「何を信じていいかわからない」というのは、正常な状態だと思います。たぶん、ひとつだけを信じるってことはないんですよ。イスラエルのナラティブ(物語)で考えれば、それこそ何千年もさかのぼる悲劇の民族があり、それは歴史上のファクトだから、絶対に否定してはいけないことです。今回の戦争で、イスラムフォビアが広がることが懸念されていますが、実はそれよりもやばいと懸念しているのが、反ユダヤ主義です。

それこそ、ドイツでハーケンクロイツがいきなり壁に描かれたり、ユダヤ人の家にダビデの星がスプレーされたり。本当にあってはならない話です。悲しいことにイスラエルが攻撃をして、パレスチナ人が死ねば死ぬほど、反ユダヤ主義は拡大していってしまうんですよね。