一度は袖にした選手も招集
それにしても昨季、41本でパ・リーグの本塁打王を獲得した山川が“最終メンバー”というのだから、何とも贅沢だ。
「実は当初、栗山監督は山川を呼ぶ考えはなかったと聞きます。というのも山川は19年のプレミア12を不調でも故障でもないのに真っ先に辞退し、当時の稲葉篤紀監督から不評を買った。“代表よりシーズン優先”と考えるのはプロとして無理もないですが、山川は明らかに代表入りに対して、後ろ向きな発言を漏らしていましたからね」(同・デスク)。
そうした発言は、当然、栗山監督も耳にしていたはずだ。その証しが、昨年12月に札幌で開催された豪州との強化試合で一塁専任を選ばず、山田、牧の併用というプランとなって表れたわけだ。
だが、栗山監督が最後まで招集にこだわっていた坂本は、年明けに辞退を表明。そこで急遽、右打者の補充として山川に白羽の矢が立ったという。
「山川は今オフに日本ハムからソフトバンクにFA移籍した近藤健介が、7年総額50億円という巨額だったことに大きな刺激を受けたといいます。山川は今オフ、西武からのFA流出が濃厚と見られている。今回、代表入りして活躍すれば、自分の株を上げることができると考えたんですよ。
一方で栗山監督とすれば、一度は袖にした選手を招いたことになりますが、彼はいい意味で“変なプライド”を持たない性分なんです。必要とあればいつ、どこへでも出向くし、どんな相手にも頭を下げられるし、相手の懐にも飛び込んでいけるんです」(同・テレビ局関係者)
1月6日の会見で、大谷が会見で「本人を目の前に申し訳ないですけど、おそらく誰が監督でも出たいなという気持ちは前向きだったと思う」とコメントして記者たちを笑わせたが、こうした本音が言えるのも、ふたりの信頼感あってのことだ。
またダルビッシュ有は「栗山監督に『来年のWBC出場しなさい』と言われたので出場します」とツイッターで表明したほど。
前出のテレビ局関係者が言う。
「普通、代表監督が渡米までするのは、事務方が根回しして内諾をとり、形式的に出向くものです。しかし今回はまったく根回しはなく、栗山監督が直々に行って口説いた。ダルビッシュも“わざわざ来てもらって”と断るに断れなかった心境をのちに明かしています」