「理想通り」の投手陣に対し野手陣は…
1月26日、ついにWBC日本代表の正式メンバー30名が発表された。
「顔ぶれだけ見れば、よくぞこれだけの戦力を揃えたなって感じますが、ここまでの過程を思うと、栗山英樹監督の苦労が感じられる布陣になりましたね」
そう語るのはスポーツ紙デスクだ。
大谷翔平にダルビッシュ有といったメジャートップクラスの面々に、国内組からも山本由伸や佐々木朗希、打者では村上宗隆など個性豊かな実力者が召集された。
ただ、と前出のデスクが言う。
「栗山監督からしたら投手陣はほぼ当初からの理想通りでしょう。しかし野手についてはかなりの紆余曲折があったんです」
就任当初から、栗山監督は打線の軸は村上宗隆と鈴木誠也と考えていた。村上はいうまでもなく国内最高の打者。鈴木は所属するカブスが了承してくれるかが課題だったが、メジャーを経験し、苦労もしてひとまわり大きくなった。
このふたりに加え、国際大会という一発勝負の舞台でも力を発揮している山田哲人、チームをまとめていける坂本勇人を加えた4名が、栗山構想の基本にあったという。
ところが山田と坂本は昨季、調子を落とした。山田は打率2割台半ばを行き来する不振が続き、坂本はヒザの靱帯を傷めるなど故障も重なり戦列からも離脱した。
「山田と坂本の不振は、栗山監督にとって大きな誤算でしたね。とくに坂本に対する信頼感、期待値はとても高く、代わりはなかなか見つからない。守備は源田壮亮でなんとか埋まりますが、攻撃面でのダウンは痛い。故障さえ完治していれば代表に加えたいと、栗山監督は最後まで坂本の招集にこだわったといいます」(前同)
しかし、坂本は年明けに辞退を表明。山田も、打撃の状態を見極められない不安から代表内定が年明けにずれ込み、結果的に山川穂高、岡本和真らを補充する形となった。