専門スキルからビジネスシーン理解、睡眠まで。
発達障害の特性を考慮した講座がずらり

——キズキビジネスカレッジで身につくスキルを具体的に教えてください。

長谷川 現在、ビジネススキルを学べる講座と、身につけた知識やスキルを使いこなすための実践的なプロフェッショナルコースを開設しています。

林田 講座の内容は座学だけでなく、実践的なトレーニングも行います。例えばWebライティングの講座では、実際にWebサイトに掲載する文章を書く機会を設けています。
また先日は、動画編集コースの利用者に、採用広報用に撮影した動画を編集してもらいました。座学で知識をインプットするだけでなく、講座の中でアウトプットしながら学んだことを身につけてもらえるよう工夫しています。

発達障害をもつ方が自立的に働くためのヒントは“「苦手」への対策を自分で考える”こと_3
Webライティング講座の様子

——発達障害ならではの困りごとの対処法も学べますか?

長谷川 もちろん用意しています。また、体調不良や気分が乗らずに休むことが多い方には、在宅利用の提案を行い、eラーニングでの学びなどフォローできる体制を整え、目標とする就業時期に合わせて学んでいけるようサポートしていますよ。

林田 例えば「ビジネスシーン失敗回避術」は、状況に適したコミュニケーションの方法を学ぶことで、ビジネスシーンでの失敗を回避するための講座です。

発達障害者にはコミュニケーションが苦手な方も比較的多いですが、思ったことを言語化するのに時間がかかる人もいれば、相手への“伝わり方”を考えずに、思ったことをすぐに口にしてしまう方もいるなど、困りごとは多様です。そういった方々が、さまざまな事例から円滑なビジネスコミュニケーション術を学んでいます。

例えば「Web制作会社にホームページの制作を依頼中。最初は問題なく進んでいたが、あるとき担当者が変わってから業務が滞るようになった。どうすればよいか」というケースがあったら、まずは「円滑なコミュニケーションを取りにくい行動」について皆さんに発表してもらいます。
次に行動パターンを細かく分解して説明し、そのパターンを学んで適切な対応を知っていくことで、実際のビジネスシーンでも失敗を回避できるようになるのです。

発達障害をもつ方が自立的に働くためのヒントは“「苦手」への対策を自分で考える”こと_4
「ビジネスシーン失敗回避術」講座の資料(一部抜粋)

長谷川 企業の新卒研修などでは、こうした対応について「相手の目線になって考えましょう」などフワッとした指導が多いのですが、発達障害の方には伝わりにくいです。だから私たちは「相手はどう思うのか」「なぜそうしなければならないのか」という目的をお話ししながら、具体的なパターンをお伝えするようにしています。

——睡眠の講座もあるようですが、どのようなことが学べるのでしょうか。

林田 発達障害の方の多くは睡眠に問題を抱えている方が多いので、協力医療機関の睡眠の専門医に講座を提供してもらっています。実は日中の体調不良は、睡眠に起因していることが多いので、受講して初めて「日中に眠くなるのは睡眠をきちんととれていなかったからなんだ!」と気づく方も少なくありません。