「消えてくれればいい」古屋氏の思惑 

岐阜県議選多治見選挙区は、今井氏のほか、自民公認候補の友江惇氏、連合岐阜が推薦する野党系の判治康信氏の新人3人が、定数2を争う。

今井氏の「寝返り」を受け、野党の鼻息は荒い。もともと「自民王国」の岐阜県では「仲間割れをしている余裕はない」(立憲の岐阜県議)とされるほど少数派の野党は、立憲も国民民主党も、選挙では協力体制を敷いてきた。

その岐阜県の中で多治見市は、数少ない、野党が強い地域として知られ、多治見市長選では、現職の野党系・古川雅典市長の後継となる高木貴行県議の当選、県議選多治見選挙区では、判治氏の当選が野党にとっての至上命題だ。

「多治見で人気者の今井氏が自民に来れば、自民が多治見市長選で勝てると思ったかもしれないが、市民の間では、今井氏の寝返りに反発も強い。逆効果ではないか」(立憲関係者)

一方、今井氏が移った先の自民。今井氏はあくまで無所属で、自民「推薦」候補。古屋氏は「非自民で運動してきた皆さんをしっかりこっちに取り込んでもらう」と明言し、自民の組織的な票はあくまで「公認」候補の友江氏に差配し、友江氏の勝利を最優先する考えだ。

ここにきて、今井氏のスキャンダルも飛び出した。19日発売の週刊文春が、今井氏が既婚者であるにもかかわらず、古屋氏の長男に「国会議員になれるなら、離婚して嫁ぎます」などと「求婚」していたと報じたのだ。

「立憲期待の星」の寝返りは「今井氏の県議選落選がベストシナリオ」とする古屋氏の罠か、今井瑠々氏の目論見通りか_5
古屋圭司氏の思惑は…?(Facebookより)
すべての画像を見る

「今井氏には大打撃です。これまで築いてきた『ジェンダー問題や女性・子ども政策に熱心』『ひたむきに頑張る若い女性』というイメージはガタ落ち。知名度があるとはいえ、県議選で当選できるかどうか、わからなくなってきました」(自民岐阜県連関係者)

自民への寝返り後から、逆風にさらされる今井氏。ただ、彼女を引き込んだ古屋氏は、どこ吹く風だという。
自民関係者は、古屋氏の狙いをこう解説する。

「今井氏が県議選で落選するのが、古屋氏にとってベストシナリオ。消えてくれればいい。息子の世襲の道が安泰ならそれでよしだ」

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班  写真/小川裕夫 共同通信社