後ろ盾の逮捕、遅刻…今井氏の孤立と心変わり

だが、今井氏の「裏切り」は水面下で進んでいた。

22年5月、今井氏の選挙対策本部長を務めていた山下八洲夫・元参院議員が、新幹線のグリーン券をだまし取ったとして逮捕された。

「今井氏は謝罪にまわっただけでなく、後ろ盾の存在を失ったことにより、孤立していき、耐えられなくなったようです」(立憲関係者)。

一向に上向かない党の支持率、地元政界での孤立……。今井氏の心は徐々に立憲から離れ、当初は「先輩議員の言うことを素直に聞き、健気」と言われていた党内評は、「会議に遅刻してくるし、街頭演説のような目立つ活動はするが、地道な関係者回りには消極的」という評判へと変わっていった。

21年の衆院選で落選後、立憲の総支部長に選任されなかった男性は「若い女性だということで、党が目立つイベントに引っ張り出し、活動費も潤沢に与えていた。党は見る目がない」と嘆く。

「立憲期待の星」の寝返りは「今井氏の県議選落選がベストシナリオ」とする古屋氏の罠か、今井瑠々氏の目論見通りか_3
枝野幸男が代表を務める立憲民主党から手厚い応援を受けていたが…(Facebookより)

期待をかける立憲とは裏腹に、党から心が離れていく今井氏に「つけこんだ」形となったのが、今井氏と衆院選で戦った古屋氏だった。当選11回、70歳の古屋氏は、自身の秘書を務める長男への世襲を画策する。

そこで、かねてより課題だったのが、「世襲で評判の悪い長男との対決なら、勝てるだろう」(立憲幹部)と言われていた強敵の今井氏の存在だった。