依頼者夫婦の7割が元鞘に。ポイントは「早めの対処」

――MR社では不倫の証拠を突き止めるだけではなく、以後の夫婦生活改善に向けたカウンセリングまで行っているとうかがいました。

岡田 探偵の仕事は「不貞の証拠をつかんで終わり」ではありません。なぜ依頼者が弊社に来るかといえば、「不倫を証明したい」からではなく、「夫婦生活を修繕したい」から。不倫調査は夫婦生活を元どおりにする“手段”にすぎず、調査自体が“目的”ではないのです。

ですから弊社では、業界でいち早くカウンセリング制度を取り入れ、証拠をつかむ前から依頼者の根本的な悩みと向き合うようにしています。調査対象の親御さんや育った家庭環境まで調査・分析し、夫婦関係をどのように修繕するべきか、そもそも修繕できるかどうかまで依頼者と共に考える。真に突き止めるべきは不貞の証拠ではなく、不倫に至った原因なのです。

――その結果、夫婦関係は改善に向かうのでしょうか。

岡田 ええ。弊社が担当した依頼者夫婦の7割が元の夫婦生活を継続しており、この数字はコロナ前も後も変わりません。先ほど言ったように、探偵社に来る時点で不倫はすでに末期ではあるのですが、一方で少なくとも片方に「やり直したい」という気持ちがあるのも事実。不倫に至るには必ず原因があるので、その点をとことん話し合ってお互いが正していけば多くは改善に向かいます。

しかし「7割の夫婦は関係を修繕できる」といっても、夫婦としてやり直したいのであれば不倫を放置しておくのはオススメしませんね。風邪と同じで、重症化する前の早期発見・早期治療が大切ですから。

――不倫は誰しも罹患する可能性のある、風邪のようなものである、と。

岡田 そのとおり。しかし気をつけてほしいのは、不倫ほど治りづらく、感染力が強い風邪はなかなかないということです。対処を間違えれば自分だけでなく、家族の人生、愛人の一生まで変えてしまう。ある意味、どんなウイルスよりも恐ろしいものかもしれませんね。

写真:Alamy/アフロ

取材・文/結城紫雄