「北九州の人間にとって成人式は、遊びの最後を飾る祭りやけん」元ヤン社長が語る、2008年の成人式と、前田大尊に憧れた喧嘩の日々_2

夢は…番長!

――北九州の成人式は、“日本一ヤバい”成人式として有名ですが、当時から喧嘩とかもあったんですか?

喧嘩? ない、ない、ない。みんなもう20歳ですよ。中学高校の6年間で勝負はついとうけ、それぞれの立ち位置は決まっとるし、喧嘩になるなんてことはないですよ。顔を合わせても「おぅ、元気?」みたいな感じですよ(笑)。

――ということは…望月さんも、中高の時は喧嘩に明け暮れていた?

やってましたね。もういやっていうほど(苦笑)。これは北九州の風土やろうけど、“喧嘩には負けるな!”ちゅうのが厳然と続いていて。「喧嘩に負けた!? お前はそれでもオレの子か? 勝つまで帰ってくるな」と、くらす(殴る)親が多かったですからね。親に怒られたくなければ、もう強くなるしかないみたいな感じやったですから。
人生の目標は、「番長になって、地区制覇!」って思ってるやつがそこら中にいて。オレもその一人ですけどね(笑)。

――そのまま、漫画の世界です(笑)。

いやでも本人たちはいたってマジで。オレも小学校のときに兄ちゃんの影響で読んだ、『週刊少年ジャンプ』のヤンキー漫画『ろくでなしブルース』にドハマりして。夢は主人公の前田太尊になる!やったですからね(笑)。

「北九州の人間にとって成人式は、遊びの最後を飾る祭りやけん」元ヤン社長が語る、2008年の成人式と、前田大尊に憧れた喧嘩の日々_3
後列中央で睨みをきかせる望月さん。喧嘩に明け暮れていた当時の写真

――スポーツには興味がなかった?

中学で柔道、高校では空手をやってました。

――なるほど。だから喧嘩にも強かったんですね?

いやそうじゃなくて(苦笑)。順番が逆です。柔道と空手をやっていたから喧嘩が強いんやなくて、喧嘩に強くなりたいから柔道と空手をやりよったというね。まぁおかげで喧嘩では一度も負けたことがなかったですけどね。

――変な質問になりますが、中学生、高校生の喧嘩というのはどこまでやり合うものなんですか。

オレの喧嘩はステゴロ(武器を持たずにコブシで殴り合う)で、相手が“まいった”と言うまでやね。ごめんなさいって言ったらそれ以上はやらない。
一回喧嘩したらみんな友達!みたいな感じやったね。『ドラゴンボール』と一緒ですよ(笑)。

――結果、夢だった番長まで上り詰めた?

中学は割と簡単に(笑)。高校は漫画の『クローズ』の鈴蘭と鳳仙と同じように、バリバリのヤンキーが集まる高校ともう一校、『池袋ウエストゲートパーク』のような街っ子チーマーの高校があって。オレはバリバリのヤンキーに憧れてたけん、そっちに行きよったよ。