「失われた恐怖」を求めて

―2000年代に入ると海外進出が目立つようになりますね。

最初に国際的な評価を得たのは、『CURE キュア』や『回路』(2000年)の黒沢清監督です。その後、『リング』『呪怨』がハリウッドでリメイクされたり、それぞれの監督がハリウッドデビューを果たしたりと、Jホラーにとって飛躍の時期でした。貞子の幽霊イメージはホラーアイコンとして、海外でもすっかり定着しているんですよ。

―Jホラーに影響を受けた海外の作品はありますか。

ジェームズ・ワン監督の『インシディアス』(2010年)『死霊館』(2013年)『アナベル』(2014年)シリーズは、間違いなくJホラーの影響を受けていて、作品的にも興行的にも大成功を収めています。ほかに、NETFLIXで話題を集めた台湾映画の『呪詛』(監督: ケヴィン・コー、2022年)や、少し前なら韓国映画『哭声/コクソン』(監督:ナ・ホンジン、2016年)など、Jホラーの影響を受けながら、独自の進化を遂げたアジア作品も目立つようになりました。

―他方、その頃になると国内ではJホラーの話題が聞かれなくなりました。

2010年代に入ると「Jホラーとはこういうもの」というイメージが定着して、新たな恐怖を生み出せずに停滞してしまったんです。目立つものといっても、『貞子3D』(監督:英勉、2012年)『貞子vs伽椰子』(監督:白石晃士、2016年)『貞子』(監督:中田秀夫、2019年)など、人気作の派生作品ばかりで。

とはいえ、この時期の収穫として「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズ(監督・脚本:白石晃士、2012年〜)があります。フェイクドキュメンタリーの新たな地平を切り拓いた快作です。元々はDVDレンタル向けの作品でしたが、ニコニコ生放送で配信され、人気に火が付きました。

最重要作『邪願霊』から最新ヒット『カラダ探し』まで。低迷していた「Jホラー」が再ブームとなったワケ_6
「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズ(監督・脚本:白石晃士、2012年〜)(画像出典:Amazon.com)