カラオケルームでキスの練習
——テレビではなくてよかったですね。
有馬 その経験があったので、決勝まで、キスの強さとかは練習しまくりましたね。どこまで行けるか。カラオケボックスを何度も借りて。
——カラオケボックスって、カメラとかあるんじゃないですか。男同士でキスしまくってたら、あやしまれそうですが。
有馬 なので、ソファの隅っこの方で。店員に見られないように。
——準決勝と決勝は、ゲラゲラ笑って見ていただけなのですが、改めて見直すと、実はすごい計算されているんですよね。おそらく、ただキスするだけのネタだったら、あんなに笑えない。キスが下品に見えないのは、男と女が互いの気持ちの変化を感じ取りつつ、恥じらいながら、でも真っすぐな男女関係に発展していくという純愛物語になっているからなのでは、と思いました。
有馬 設定として、おばさんは、未亡人なんです。子どももいて、その子どもはもう社会人になっている。余生を楽しむつもりで通い始めたスポーツジムで、予期せず、燃えるような恋に落ちてしまった。
そんな自分に戸惑いつつも、思いを止めることができない。自分の中にはそのキャラクター設定が入っているので、ネタ中、気持ちが入り過ぎて何回か泣いちゃったことがあるんです。
——じつは、グッとくるネタでもあるんですよね。女性の健気さであったり、ひた向きさに。
太田 あのネタを劇場でやったとき、エゴサしたら、最後のキスのところで泣いちゃったというお客さんが何人かいたんですよ。このネタ、感動もさせられるんだと思って。
有馬 決勝でネタをやる直前も、笑わせるんじゃなくて、感動させるんだって自分に言い聞かせていました。お客さんを泣かせよう、って。
——恋愛は当事者たちが一生懸命であればあるほど、傍目から見ると滑稽に映るものなんでしょうね。だから、コントになる。暫定席にいた前の3組は、みんな抜かれると思っていたそうです。ところが……、でしたね。最初の3人は、山内健司さんが91点、秋山竜二さんが94点、小峠英二さんが90点。なんとも言えない感じでした。
有馬 そうでしたね。
——そして、4人目の飯塚悟志さんが89点。この日、唯一の80点台でもありました。
太田 うわっ、て。このあたりはジェットコースターでしたね。最後の松本(人志)さんの「95」で、またぐわっとなって。