目の前で奪われたモニカ・ベルッチ
多くのハリウッド・スターが表紙を飾ってきた「ロードショー」ですが、私にとっては「ロードショー」といえばフランス映画。たくさんのフランス人俳優に取材させてもらいました。取材そのものが楽しいのはもちろんですが、取材終わりに微笑ましいシーンを目撃することができるのもこの仕事の幸せなところ。
大好きなヴァンサン・カッセルが、『ドーベルマン』(97)でモニカ・ベルッチと来日した際には、インタビューする前から愛すべき一面を見せてもらいました。老舗ホテルの一室でのモニカの取材を終え、編集者とレストランでランチをいただいていたときです。午前中の取材を終えてランチにやってきたモニカは、私たちを見つけると笑顔でテーブルに近づいてきてくれたではありませんか。
手を振るだけじゃなくて、わざわざ来てくれるなんて!と、感激したその瞬間、彼女の手をとって自分達のテーブルへ引っ張っていってしまった人物が。そうです、彼女の到着を待ちかねていたヴァンサンです。
1秒でも長く一緒にいたいらしい熱愛っぷりにびっくりしたものの、その後の初取材で彼の気さくさとかっこよさにすっかり惚れ込み、来日のたびに取材させてもらう“追っかけモード”に突入。
一度の来日中に複数の雑誌で取材に行くこともあったので、インタビュールームに入ってきた彼が、「また、キミか!」と呆れて部屋を出ていくフリをするというコントみたいなシーンを演じてくれたことも。モニカとヴァンサンの結婚生活にはピリオドが打たれましたが、ヴァンサンへの私の愛は深く静かに続いておりますよ。
ドリュー・バリモアからのプレゼントは…
自分が身につけているアイテムの趣味がスターたちのそれと合うと嬉しいものですが、モニカには腕時計を誉めてもらってさらに好感度アップ。日本のアパレルブランド製のお手頃価格のダブルフェイスでしたが、彼女に誉められて自分のセンスに自信を持ったものです(笑)。
そういえば、某女性誌でのバズ・ラーマン監督の取材中もずっと手元に視線を感じると思っていたら、インタビューが終了した途端に「その時計、いいね」と言われたのでお見せしたことも。
実はそれは愛しのベン・アフレックの『パール・ハーバー』(01)のジャンケットでいただいたシンプルなハミルトン。そうと知ったバズは、「じゃ、『ムーラン・ルージュ』のも作らなきゃ」とキャンペーン中の作品の名前を挙げていたものでした。きらびやかな作品を撮る人なのに、シンプルな時計がお好みとはちょっと意外な気がしました。
ハリウッド・スターにもずいぶん取材させてもらいましたが、意外というか、驚いたのは『チャーリーズ・エンジェル』(00)になるちょっと前のドリュー・バリモア。なんと彼女、インタビュアー全員にプレゼントをくれたのです。それも、自分で拾ったという貝殻を。
私も来日スターにお土産を持っていったことはありますが、スターからプレゼントをもらったのは、これが初めて! しかも編集者も立ち会うという日本の取材スタイルを知らなかった彼女は、編集者の分がないことをしきりに申し訳ながっていたんですよね。そのとき、私がこう思ったのはいうまでもないでしょう。「いい人だ! なんていい人なんだ!」と。