ティム・バートン監督について1万字!?
先日、ブラッド・ピットについての原稿を依頼され、書かせてもらった映画ライターの渡辺麻紀です。
こういう海外スターの魅力について書いたのはとても久しぶりで、考えてみれば、そういうネタで2000字以上もの原稿を書く機会はあまりないのでは? もしかしたら邦画の人気者やアイドルではあることなのかもしれないが、洋画のスターはどうなんだろうか。
世間がどうなっているのかはわからないが、少なくともわたしは、その原稿を書きながら「ああ、本当に『ロードショー』が復活したんだなあ」ということを改めて実感してしまった。
映画ファン的にも映画ライター的にも大変喜ばしいことだ。
さて、かつての「ロードショー」の思い出である。最初に書いた原稿は? 残念ながら憶えていないのだが、何度も書かせたもらったものは憶えている。“A to Z”。人物や作品の全容を、AからZまでの27項目に分類して書くという、大変おたく心をくすぐるフォーマットだ。
このフォーマットで最初に書いたのは(おそらく)『X-ファイル』(1993~2002)シリーズだったと思う。声をかけてもらった当初は「そんなTVシリーズがあるんだ」程度の軽いノリだったのだが、数話見るうちに夢中になり、この仕事をわたしに振ってくれた当時の担当編集Iさんには感謝しぱなっし。毎号、さまざまな切り口でエピソードを紹介していたように記憶しているが、シリーズもかなり進んだときにわたしのほうから提案したのが“A to Z”だったと思う。
当時はまだインターネットの黎明期(だったと思う)。今のようにお手軽にGoogleサーチしてネタを手に入れることは不可能で、それまでに購入していた雑誌や単行本を駆使してネタを探したのを憶えている。わたしが敬愛するモデルアニメーター、レイ・ハリーハウゼンも“R”か“H”に入れたんじゃないだろうか。実のところ、そういうマニアックなネタについても書きたかったので提案したとも言えるのだが。
この仕事は大変だった。なぜなら資料を調べつつビデオを何度も見なおし、1万字くらい書かなきゃいけないから。が、それでもめちゃくちゃ楽しくて、その後もさまざまな監督やクリエーターに関してのAto Zを書かせてもらった。スティーヴン・キング、リドリー・スコット、そしてティム・バートン。バートンは文字数が少なくて不完全燃焼に終わったようと思うが、それでも大いに楽しんだ。
わたしは、映画を見るときも、そういうディテールに目を向けること、ディテールを楽しむ傾向が強く、その性格を活かす仕事をやらせてもらえたという印象だった。