あなたはダニング・クルーガークラブの一員か?
わかった気になる人がなぜ多いのかは、「ダニング・クルーガー効果」を知れば簡単に納得できます。ダニング・クルーガー効果とは、「愚かな人は自分を高く評価する」傾向を指すもので、この説明をする際には以下のような図がよく利用されます。
この図にあるとおり、何も知らない状態から少し知ると全てをわかった気になります。この状態が一部の情報に最も偏った状態です。それを超えて学習を続けると、自分の信じたい情報が正しくない可能性などを知り、その先の自分で考えることに繋がっていきます。
ちなみにこの効果を発表した二人は「クラブに入るための第一法則は、自分でクラブのメンバーだと知らないこと」だというジョークを言っています。(この言葉は名言としてグッズ化もされているという…)
知った気でいること、無知でいることは実は合理的です。それを答えと思ってしまえば、それ以上の学習は必要ないため、コストがかかりません。つまり、人は楽でいるために断言してくれる権威の意見を鵜呑みにするのです。
しかし、正しい判断をするためには自分の頭で考えるしかなく、そのために学習するべきです。
矛盾するようですが、学習する理由の一つは世の中のほとんどは複雑で簡単に解決できない問題があふれていることを理解することです。その中で、どう折り合いを付けて生きていくのか、それを考えることが学習の目的だと筆者は考えています。
将来、人がAIに勝てるのは考える力くらいと言われているとおり、自分で考える努力をする人とそうでない人の差は今後さらに開いていくのではないでしょうか。
文/井上ヨウスケ