ベスト8から連覇が見えてくる

――日本では初戦の勝利以降大いに盛り上がっていますが、フランス国内のW杯ムードや、期待度はいかがですか?

今大会が例外的な “秋開催”で、ラグビーフランス代表の試合や男子テニスの年間ツアー最終戦など、サッカー以外のスポーツも佳境を迎えているので、現状では「W杯ムード」と呼べるほどの盛り上がりにはなっていません。

国内の大方の予想としては、組み合わせをシミレーションしても、まずグループリーグは突破するだろう、と。その後にトーナメント1回戦で当たるグループDの国を見ても、前回のベスト16で下したアルゼンチンを含め、フランスからすると特に苦手意識のある国はなく、組み合わせに恵まれた、という印象で受け止められています。

そこで勝った場合、次はオランダ・セネガル・イングランドのいずれかが来る可能性が高いですが、どこが来ても“五分五分”の戦いになるでしょう。ベスト8まで残ると「残り3試合勝てば優勝」なので、フランスメディアもそこで初めて「連覇」という言葉を使い始め、やっとサポーターも盛り上がり始めるのではないかな。

【W杯】フローラン・ダバディ氏が語る前回王者フランス代表 「フランス国内ではベスト16までは楽勝ムード」_1
FIFAワールドカップカタール2022のグループリーグ組み合わせ
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――ダバディさんの個人的な予想はいかがですか?

予想というよりは個人的な願望ですが、2002年日韓W杯のリベンジマッチとして、セネガルとの対戦をベスト8で観たいです。あの大会は初戦でセネガルに負けて、そこから歯車が狂い始めましたし…。

今回のセネガルはとてもいいチームですし、セネガルはフランス語圏で個人的にも好きな国。アフリカのチームが初めてW杯で優勝するところも見てみたいので、もしそこでフランスが負けたら、そこからはセネガルを応援します(笑)。

――カタール入りしたフランス代表の雰囲気は良好ですか?

フランスメディアの報道を見ている限りは、とても落ち着いているようです。2000年にEUROを制した後、「日韓W杯も余裕で連覇」という楽観的なムードがフランス国内にありました。20年前の話ですが、そこで“大コケ”してしまったことを、フランス人は忘れていません。

だからこそ選手や監督、スタッフ、メディア、サポーターも含めて、誰も前回王者という立場に驕っておらず、「連覇」という言葉は口にしない。それに、フランスから見てもやはりブラジルが今回の大本命です。そういう前提の上で、ロシアW杯のように1試合1試合ベストを尽くし、簡単には負けないチームを作り上げたい、という気持ちでまとまっているはずです。