今月の1曲
『雨の街を』荒井由実 (松任谷由実)
作詞・作曲 荒井由実
●まつとうや ゆみ 東京都出身。"ユーミン"の愛称で世代を問わず広く知られる国民的シンガーソングライター。1972年、大学在学中に荒井由実名義でデビュー。その後結婚を機に芸名を"松任谷由実"に変更。2022年にデビュー50周年を迎えた。
ユーミンこと松任谷由実さんが50周年記念ベストアルバムを発売されました。老若男女で思い出の曲が違う、というのもユーミンならではの特徴だと思います。
私は近年ユーミンのオリジナルアルバムを1枚ずつ丁寧に聴いていくというライフワークに勤しんでいるのですが、荒井由実時代の『雨の街を』。この歌詞が本当に素敵なんですね。冒頭から情景描写で始まるのですが美しい。夜明けの雨がミルク色なんですよ!? しとしとと降る様子を「ささやきながら 降りてくる 妖精たちよ」と、もはや"歌詞"ではなくて"詩"ですよね。荒井由実という少女が新鮮な感性で切り取った世界がみずみずしく表現されていてうっとりしてしまいます。楽曲もユーミンが自ら弾いたピアノで初々しさもあり、いいとこのお嬢さんが秋の雨の朝にお出かけする映像が浮かんできます。
その後、松任谷由実となり色んな女性の肖像を描いていくユーミンの原点をぜひ皆さん聴いてみてください!
● ひゃだいん
音楽クリエーター。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。さまざまな楽曲提供を行いタレントとしても活動。
先行配信ですでに大ヒット中のシングルがついに発売に。TVアニメ『チェンソーマン』のOPテーマとして書き下ろされた今作はKing Gnu/mill ennium paradeの常田大希との共同編曲。作品の世界観そのままに、最初から最後までパワフルなエネルギーがほとばしる! 『恥ずかしくってしょうがねえ』も収録。
"浮かぶ獏"というタイトルのイメージにぴったりな、新しくも懐かしさを感じる、ふわふわとしたポップサウンドがクセになる! 8枚目となる今アルバムには、’22年に発表された『浮遊層』『微熱』『4×4』などのデジタルシングルも収録。Vo.の大胡田なつきが毎回手がけているというアートワークにも注目。
2023年1・2月号掲載
選曲・原文/ヒャダイン web構成/轟木愛美 web編成/内山英理