音楽で地域を盛り上げたい

その後、常連客からの案で、定休日に店内でフリーマーケットを開き、進藤さんは所蔵していたレコードを出品。「想像以上に売れたことに驚きました」と振り返る。

当時、レコード店は近所になかったため販売を決意し、古物商の免許を取得。客から販売の要望が複数届いていたことにも背中を押された。

レコード販売にフリマ、DJイベントも。「レコードコンビニ」が東京のど真ん中にできた理由_5
店内には2000枚以上のレコードが並ぶ
レコード販売にフリマ、DJイベントも。「レコードコンビニ」が東京のど真ん中にできた理由_6
カップ麺の棚の隣にもレコードのコーナーがある

噂が噂を呼び、音楽好きやプロの来店が目立つようになると、進藤さんは訪れた人との距離を縮め、店内でのDJイベントや地下の小さなスペースでのシークレットライブを企画した。
そして、いつの間にか「レコードコンビニ」と呼ばれるようになっていた。海外から店を目的地として訪れる音楽好きの外国人もいるという。

現在は店内奥に設けたDJブースを使って、毎週末イベントを開催。プロのDJを呼んだり、レコード試聴会を開いたりしている。地下では、DJ教室も定期的に開く。

「コロナ禍で急にDJ人口が増えたんですよ」と進藤さんは話す。周りからの小さな需要を肌で感じ、教室を始めてみたのだという。

レコード販売にフリマ、DJイベントも。「レコードコンビニ」が東京のど真ん中にできた理由_7
週末には店内のDJブースを使ってイベントを開く 写真/進藤康隆
レコード販売にフリマ、DJイベントも。「レコードコンビニ」が東京のど真ん中にできた理由_8
天井にはミラーボールも
レコード販売にフリマ、DJイベントも。「レコードコンビニ」が東京のど真ん中にできた理由_9
DJ教室などで使っている地下のDJブース

地域の人との交流を深める中で、自分に何ができるかを進藤さんは考え続けている。

「ある意味、これをやってほしいとかって言われたりするのは宿命かなって」と笑う。

「町内会にも入っているんですけど、毎年ルーティーンがある。それをもうちょっと面白くしたいなって、子どもの頃から考えていて。ルーティーンを崩したいというか。音楽を媒介として、自分が浜町でできること、地域を盛り上げられることを考えていたっていう感じですね」

進藤さんは地域行事にも積極的に参加し、会場のDJブース運営を担当するなど音楽を取り入れている。

レコードが生み出す、一軒のコンビニと地域のつながり。きょうも進藤さんは店内を流れる音楽とともに、街の人々の声に耳を傾けている。

レコード販売にフリマ、DJイベントも。「レコードコンビニ」が東京のど真ん中にできた理由_10

取材・文/高山かおり
撮影/山野一真
編集/一ノ瀬 伸

ヤマザキショップ上総屋
住所:東京都中央区日本橋浜町2-55-5
営業時間:7〜23時
定休日:日曜、祝日
Twitter @RECORD_CONVENI
Instagram @record_conveni