真面目ないい子だからこそ、
依存症になることも

受験のストレスがあっても、すべての子どもが依存症になるわけではもちろんない。依存症になりやすい子どもには「コミュニケーションの課題」があることが多いと前田先生は言う。

「たとえば、自分のストレスや不安を解消したいとき、誰かに話を聞いてもらう方法がありますよね。でも『こんなことを話して否定されたらどうしよう』などと考えてしまう子は、なかなかそれができません。

その代わりに、『これをやれば気持ちがスッキリできるし、自分を裏切らない確証がある』と感じる物質や行動に依存してしまうケースも少なくないんです」

依存症というと、一般的には「意思が弱い・誘惑に負けてしまう」といったイメージに見られがちかもしれない。しかし、むしろ「真面目ないい子」だからこそ、依存症になりやすいという傾向もあるそうだ。

「いわゆる『優等生』と呼ばれる子たちは、自分の気持ちを押し殺して周りの大人たちの言うことを聞いていることがよくあります。

そういう子たちは、受験勉強がしんどくても『本音を言ってはいけない』『感情を抑えてがんばらないと』と考えがち。そして、ストレスに対処するために依存行動が始まってしまうことがあります。

『ある程度賢くて考える力はあるけれど、人に頼ることが苦手だったり、頼る方法がわからなかったりするがゆえに、依存症になってしまう子』は、一定数いると思います」