ハリウッド女優も驚く池松壮亮の演技力
──おふたりは初共演ですが、お互いの印象は? 互いの出演作などご覧になりましたか?
池松 すべてが海を越えて届いてくるわけではないので、全作品を見ることはできませんが、『アラジン』(2019)の印象が強かったです。あと女性3人が活躍する映画……『チャーリーズ・エンジェル』(2019)もありましたね。
ハリウッドで活躍している女優さんというイメージで、遠い存在だったのですが、このドラマで共演することになり、僕のような生粋の日本人との並びや、ふたりの間のやりとりがチャーミングで面白いものになるといいなと思っていました。
ナオミ 初共演なので、会うまでどういう人なのかわからなかったけど、私たちは言葉を超えて、意外と簡単にコミュニケーションができたし、仲良くなれたんじゃないかしら。壮亮さんはマモルにぴったりでしたね。
マモルには「ちょっとベタかな」と思うセリフもあったんですが、壮亮さんは難なくクリアしていました。私が「なんで言えたの?」と聞いたら、相手を信頼していれば言えるよと。彼は、どんなセリフでも誠実な言葉として語ることができる俳優。「人を信じる」ことは、この作品のキーワードですが、あのときの彼はまさにマモルそのもの。すべてを信じていたからこそ、言えたんだと思いました。
──平栁敦子監督との仕事はいかがでしたか?
池松 演出は非常に的確で、この物語を語る上でも最上な方だと思いました。マモルとエマを接続する役割を担ってくれて、ふたりを見事にサポートしてくださいました。ご自身もパワフルでユーモアがあって、繊細で大胆でチャーミング。一緒に仕事ができてうれしかったし、人としても大好きですね。
ナオミ 壮亮さんが言うように、監督にはユーモアがあり、バランスがとれた演出でした。平栁監督は、役者に対して「こういう演技がほしい」ということをはっきり伝えつつも、とても協力的で、役者を信頼してくれました。チャーミングな方で、笑ったり喜んだり現場をいい雰囲気にしながら、本物の演技を引き出すのが上手い監督でした。とても感謝しています。
撮影の思い出は、食べ物のことで溢れている!?
──コロナ禍での撮影は大変だったのではないかと思いますが、撮影はいかがでしたか? 印象に残っていることはありますか?
池松 ナオミさんは、これまで出会ったことのないほど明るくハッピーな方でした。撮影の合間もずーっと歌って踊って、僕や撮影クルーに常に元気をくれました。沢山助けてもらって感謝しきれません。あと、一緒にチキンをたくさん食べました(笑)。お腹が空いたら撮影出来ないから「チキンを食べなさい」とすすめてくれたんです。
ナオミ あ〜、その話は私が言おうとしていたのに、取られちゃった(笑)。私たち、チキンフィレやワッフルフライをたっくさん食べたんです。あれは深夜の撮影でしたよね。
池松 うん、そうでしたね。
ナオミ 夜の撮影のときって、スナック菓子みたいな軽食しか出ないんです。「そんなんじゃダメだわ」と思い、チキンフィレなどをたくさんデリバリーでオーダーしたんです。ただ、ちょっと食べすぎちゃって。「ナオミは妊娠中なのか?」ってくらいお腹が膨れちゃったんです(笑)。でも美味しかったでしょ!
池松 はい、その後の撮影は眠くてよく覚えていません(笑)。
ナオミ あと、撮影でいただいた、和食もすごく美味しかった! あれ、なんていうのかしら、パンケーキみたいなの。
池松 お好み焼き。
ナオミ そうそう、それ! あれも美味しくて食べ過ぎちゃった(笑)。お好み焼きは初めて食べたけど、大好きになりました。壮亮さんは私がお好み焼きを食べているのを見て、ずっと笑っていましたね。
池松 ナオミさんはとにかくよく食べていて、ほんとに美味しそうに嬉しそうに何枚もお好み焼きを食べていました(笑)。彼女はまさにムードメイカー。撮影現場を心から盛り上げてくれました。“とうもろこしの花粉が幸せを飛ばして、他者を幸せにしていく”という、このドラマのストーリーと同様に、ナオミさんの存在が周りを幸せにしてくれました。
ナオミ そんな素敵な褒め言葉、初めて言われました。感動です、ありがとうございます!